1. UT技術者の年収は本当に低いのか?データで見る現実
「UTは年収が低い」という噂の裏には、業界特有の構造があります。
【2026年版】JIS Z 2305(UT)レベル別・年収シミュレーション
UTは、装置の調整(キャリブレーション)から欠陥の定量的評価まで、技術者の主観と技量に依存する部分が大きいため、資格レベルによる給与格差が他種目より顕著です。
資格・スキルレベル | 年収目安 | 現場での役割 |
UTレベル1(見習い) | 350万 〜 450万円 | 探触子の走査補助、表面準備。単独判定不可。 |
UTレベル2(中堅) | 500万 〜 750万円 | 現場責任者。JISに基づく合否判定、報告書作成。 |
UTレベル3(上級) | 800万 〜 1,100万円 | 手順書の作成・承認。技術コンサルティング。 |
PAUT・PD保有者 | 850万 〜 1,200万円 | 放射線代替検査、原子力などの特殊高難度検査。 |
なぜ「UTはきつい・安い」という声が上がるのか?
理由は主に2つあります。
- 「垂直探傷・斜角探傷」の習得コストの高さ
UTは、PT(浸透探傷)のように「誰が見ても赤い模様が出る」ものとは異なり、波形(エコー)から内部のきずを想像する力が必要です。レベル2を取得し、現場で「使い物になる」までに数年の実務経験を要しますが、その修行期間中の給与が一般的な技術職より低く抑えられているケースが多いのです。
- 多重下請け構造と「人工(にんく)」の壁
特に建築・鉄骨検査の分野では、ゼネコンからの発注単価が「人工(1日いくら)」で固定されていることが多く、どれだけ高度なUTができても、会社の利益率が上がらず、結果として社員の給与に反映されにくいという実態があります。
2. 【業界別】UTスキルの市場価値と年収ランキング
UTの技術は、「何を検査するか」でその価値(単価)が1.5倍〜2倍変わります。
第1位:プラント・エネルギー(年収650万 〜 1,100万円)
石油化学プラントや発電所(火力・原子力)の配管・圧力容器の検査です。
- 稼げる理由: 放射線透過試験(RT)の代替としてUTが採用されるケースが増えており、特に「高温環境下」や「狭小部」での探傷スキルは非常に高単価で取引されます。
- キーワード: API 510/570、電力共同研究(PD)、高温UT。
第2位:土木・建築インフラ(年収500万 〜 800万円)
橋梁の溶接部や、ビル建築時のSグレード鉄骨の超音波検査です。
- 稼げる理由: 2026年現在、老朽化したインフラの総点検が国策として進んでいます。夜間作業や出張が多くなる分、手当による上積みが大きく、30代で年収700万円を超えるケースも多い分野です。
- キーワード: 建築鉄骨超音波検査技術者、土木学会。
第3位:航空宇宙・防衛産業(年収550万 〜 900万円)
航空機エンジン部品や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の複合材検査です。
- 稼げる理由: 非常に高い精度が求められ、ミクロン単位の欠陥を見逃さない「水浸UT」や「多チャンネルUT」の知識が必要です。現場の過酷さは低いものの、専門手当が厚いのが特徴です。
- キーワード: NAS 410、水浸探傷。
3. 2026年に年収を跳ね上げる「3つの戦略的技術」
従来のアナログなUT(Aスコープ確認)だけでは、年収の伸び代は限られています。2026年の市場で求められているのは**「デジタル・高度UT」**への対応です。
① PAUT(フェーズドアレイ)およびTOFDへの完全対応
今や、石油ガスプラントの建設現場においてPAUTは「あれば便利」ではなく「必須」の技術となりました。複数の振動子を電子制御し、断面(Sスコープ)を可視化するこの技術は、従来のUTよりも大幅に工期を短縮できます。
- 年収への影響: PAUTの装置(OmniScan等)を使いこなし、解析ができる技術者は、通常のUT技術者よりも月給ベースで5万〜10万円高い提示を受けるのが一般的です。
② 電力・原子力の最高峰「PD(Performance Demonstration)」認証
原子力発電所の再稼働が議論される中、最も技術難易度が高いとされるのが「PD」です。これは特定の欠陥を確実に検出できるかを試験する厳しい認証制度です。
- 年収への影響: PD資格保有者は、業界内でも「トップオブトップ」として扱われます。大手電力会社系検査会社では、この資格を持つだけで年収800万円〜1,000万円が保証されるケースも少なくありません。
③ 自動UT(AUT)システムのオペレーション
ドローンやクローラに探触子を載せ、自動でデータを収集するシステムが増えています。
- 年収への影響: 2026年以降、現場作業は「ロボット」が行い、人間は「データの解析と合否判定」に特化する流れが加速します。解析ソフト(ソフトウェア)に強く、PC上で欠陥のサイジングができる技術者は、体力的な衰えに関係なく高年収を維持できます。
4. 基本給を底上げするために。UT技術者が選ぶべき「会社の種類」
年収が低いと嘆く方の多くは、実は技術力ではなく**「会社の収益構造」**に問題を抱えています。
企業形態 | 年収の伸びやすさ | メリット・デメリット |
独立系大手検査会社 | ◎ 高い | 資格手当が明確。レベル3取得後の昇進が早い。 |
メーカー系検査子会社 | ○ 安定 | 親会社の基準に準じるため、基本給が高いが副業等は不可。 |
地場・小規模検査会社 | △ 会社による | 出張手当で稼ぐスタイル。基本給の昇給は緩やか。 |
フリーランス(一人親方) | ☆ 爆発力あり | 技術があれば年収1,200万超も可能だが、装置代などの初期投資大。 |
【テンキャリ編集部の重要アドバイス】
求人票を見る際は「資格手当」の金額だけでなく、**「その手当が基本給に含まれるか、別途支給か」**を必ず確認してください。残業代の算出根拠となる基本給が高い企業の方が、結果的な生涯年収は1,000万円単位で変わってきます。
まとめ:UTは「非破壊検査の華」。正しい戦略で1,000万円を目指す
「UTは年収が低い」というのは、マニュアルUTしかできず、かつ単価の安い下請け現場に留まっている場合の話です。
- JIS Z 2305 レベル2を取得し、現場代理人としての実績を積む
- PAUT/TOFDなどのデジタル探傷技術を習得し、放射線代替検査に食い込む
- より上流の、プラントオーナーや大手検査会社へキャリアアップする
この3ステップを踏めば、2026年という時代背景において、UT技術者の市場価値は下がるどころか、うなぎ登りに上昇していきます。
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