MT レベル1 の試験内容と受験資格・勉強法ガイド【2026 年版】

鋼材表面の割れに磁束が漏れて磁粉が集まり模様を作る磁粉探傷試験(MT)の概念図
目次▼

MT レベル1 試験を受ける前に、まず押さえてほしいこと

MT レベル1 は、JIS Z 2305 に基づく磁粉探傷試験の入門級資格で、上位資格者の手順書のもとで現場作業を担う立場の人が取る位置づけです。手順書の作成や最終判定は上位級の役割で、レベル1 は「決められた条件を、決められた品質で再現する」ことを担当します。

これから MT レベル1 を受けるか迷っている人と、現場で MT を任されたばかりで資格の輪郭から把握したい非破壊検査技術者に向けた内容です。レベル2・レベル3 の要件と合格率、MT のあとに取る資格まで含めて、MT 資格の取り方を一通り見渡せるようにしています。数値や試験運用は、2026 年時点で公開されている JSNDI(日本非破壊検査協会)の認証制度の案内(GA1)と、会報に載る新規資格試験結果に基づいています。最新の正式値は出願時点で公式案内を必ず確認してください。

MT(磁粉探傷試験)はどんな試験種目なのか

強磁性鋼を磁化し漏洩磁束に磁粉が集まって表面きずを示す磁粉探傷の原理と4つの磁化方法の概念図

MT は、強磁性体である鋼材を磁化した状態で表面に磁粉を散布し、表面または表面直下にある不連続部から漏れ出す磁束に磁粉が吸い寄せられて模様を作る現象を利用して、きずを目視で検出する非破壊検査の一手法です。検出できるのは主に表面のきずと、表面直下数ミリ程度の浅い内部きずで、深い内部きずは原理上対象になりません。

MT の運用は、磁化方法と磁粉の種類の組み合わせで決まります。レベル1 の段階では、選定そのものを判断する役割は持ちませんが、自分が担当する手順がどの磁化方法・どの磁粉でなぜ成立しているのかを理解できる程度の知識は問われます。

代表的な磁化方法は次の 4 タイプです。

  • 軸通電法(軸状の試験体に直接電流を流して周方向磁界を作る)
  • プロッド法(試験体の任意 2 点に電極を当てて電流を流す)
  • 極間法(電磁石を試験体に当てて磁界を作る)
  • コイル法(試験体をコイルに通して長手方向の磁界を作る)

磁粉は「湿式・乾式」と「蛍光・非蛍光」の 2 軸で分類されます。

  • 湿式蛍光磁粉(暗室・ブラックライト下で観察、感度が高い)
  • 湿式非蛍光磁粉(白色光下で観察、可搬性が高い)
  • 乾式磁粉(高温部や粗面、現地での使用に向く)

MT は表面・表面直下のきず検出に強く、対象は強磁性体に限られる、というのが試験種目としての一番の特徴です。

MT・PT・UT の使い分け

同じく表面きずを対象とする浸透探傷試験(PT)と比較すると、MT は強磁性体に限定される代わりに、PT で見落としやすい表面直下のきずも一定の深さまで拾える点が違いになります。一方で非磁性のステンレス鋼やアルミニウムなどには使えないため、現場では対象材料に応じて MT と PT を使い分ける、あるいは併用する判断が求められます。

  • MT: 強磁性体(炭素鋼など)/表面〜表面直下数ミリ/鋳鍛造品・溶接ビードの表面割れ検出
  • PT: 材料種別の制約少/表面に開口したきずのみ/非磁性ステンレス・アルミの表面検査
  • UT: 金属全般/内部欠陥含む厚さ方向/溶接部の内部欠陥・厚板の減肉測定
  • ET: 導電性材料の表層を非接触で評価/磁性体は透磁率の影響が大きく用途が分かれる/熱交換器の伝熱管など

現場では MT と PT を組み合わせて使うのが定石です。レベル1 の段階では、磁化方向の選び方や擬似指示の判別で技術者の経験差が出やすい点を意識して、基礎を体系的に学ぶことになります。

MT レベル1 を受験するには何が必要か

JIS Z 2305 に基づく資格は 日本非破壊検査協会(JSNDI)の認証資格 として運用されており、各試験方法・各レベルごとに、受験前に満たしておくべき訓練時間と近方視力の要件、認証申請時に必要な実務経験が定められています。MT レベル1 の実数は JSNDI 認証制度の案内(GA1) の表で次のとおりです。

  • 訓練時間:16時間(過去5年間に受けたもの。表9.1.1-1)
  • 実務経験:1か月(認証申請時に必要。表10.3-1)
  • 合格基準:一次試験の一般試験・専門試験とも各70%以上、二次試験の実技試験も各試験体で70%以上

参考までに、同じ MT のレベル2 は訓練24時間・実務経験3か月(レベル1 を経ずに直接受ける場合は40時間・4か月)です。RT・UT のレベル1 が40時間・3か月であるのに比べると、MT・PT のレベル1 は入口が軽く、未経験者の最初の1枚として挙げられる理由になっています。方法別の一覧は資格一覧と受験要件の記事にまとめています。

訓練は、JSNDI が認める訓練機関で受講するか、勤務先で同等の訓練を受けることで充足する形が一般的です。訓練の中身は、磁化の原理、磁化方法ごとの特徴と適用範囲、磁粉と検査液の取り扱い、現場手順、判定基準などを座学と実習で押さえる構成になっています。

受験資格は試験種目ごとに別々に積み上げる仕組みなので、PT や UT で訓練時間が足りていても、MT を受けるには MT 用の訓練が別に必要になる点に注意してください。

視力要件は近方視力と色覚です。裸眼視力の数値基準ではなく、Times (New) Roman N4.5 の文字(Jaeger number 1 でも可)またはそれに相当する文字を、30cm 以上離して片目または両眼で判読できることが条件で、眼鏡やコンタクトレンズによる矯正が認められています。証明は過去1年以内のもので、色覚については、蛍光磁粉と非蛍光磁粉のどちらを使う場合でも、その方法で使う色彩やグレイスケール間のコントラストを識別できることを雇用主が証明します。受験を決めたら、訓練の予約と並行して、視力検査をどのタイミングで受けるかも段取りに入れておくのが安全です。要件の細部は改定が入ることがあるため、出願シーズンごとに JSNDI の公式案内で最新版を確認するのが確実です。

試験当日はどんな構成と流れになるのか

MT レベル1 の試験は、大きく一次試験(学科)と二次試験(実技)に分かれています。一次試験は筆記、二次試験は実際に試験体を磁化して磁粉を散布し、きずを検出して記録する実技で、それぞれ別日程で行われます。一次が合格してから二次に進む形ではなく、申し込みの段階で両方を受験する組み立てが基本です。

一次試験の当日は、試験種目共通の一般試験と、MT に固有の専門試験が同じ日にまとめて行われるパターンが多く、午前と午後で配分されるイメージです。会場は全国の主要都市に複数設けられ、受験者は出願時に希望地を選びます。

二次試験は、磁粉探傷の装置と試験体が用意された実技会場で行われます。試験官の指示のもと、決められた時間内に磁化条件を設定し、磁粉を散布し、模様を観察して記録するところまでを一通り実施します。

一次試験(一般・専門)の出題範囲はどこか

一般試験の範囲

一般試験は、非破壊検査全般に共通する基礎を扱います。具体的には、検査の品質マネジメント、欠陥の種類と発生原因、各試験法の概要、安全衛生、報告書の基本事項などです。MT 専門ではない領域も含まれますが、用語と考え方を押さえれば取り組みやすい内容で、PT や UT のレベル1 を将来取るときにも資産になります。

専門試験の範囲

専門試験は MT に絞った出題で、以下の論点が中心になります。

  • 磁化の原理(電流と磁界の関係、磁束密度と磁界強さ、ヒステリシス曲線の基本)
  • 磁化方法ごとの適用範囲とメリット・デメリット
  • 磁粉の種類と検査液の取り扱い
  • 模様の解釈、欠陥模様と擬似模様の区別
  • 規格・手順書の読み方

レベル1 では、与えられた手順書のとおりに作業し、模様を識別できることを問う問題が多く、試験条件そのものを設計する出題は上位級に回ります。

出題形式と取り組み方

一次試験は基本的にマークシート形式で、計算問題よりも知識を問う設問が中心です。範囲が広いぶん、テキストを読み込みながら自分で要点をまとめ直し、似た用語を取り違えないように整理する作業が効きます。

二次試験(実技)では何を見られるのか

二次試験では、与えられた試験体に対して、適切な磁化条件を選び、磁粉を散布し、得られた模様から実際のきずと擬似模様を区別して記録するところまでが評価対象になります。レベル1 として求められるのは、手順書のとおりに作業を再現し、欠陥模様を見落とさず、明らかな擬似模様を欠陥と誤判定しないことです。

採点される一連の手順

具体的には、次の流れが採点対象になります。

  1. 前処理(脱脂・乾燥)
  2. 磁化装置の電流値設定と磁化(方向と回数)
  3. 磁粉の散布タイミング
  4. 観察(蛍光磁粉ではブラックライト下の暗順応も含む)
  5. 模様のスケッチや写真記録
  6. 後処理(脱磁・洗浄)

一つひとつの手順は単純でも、抜けや順序違いがあると減点につながりやすいので、本番では「何を、どの順番で、どれくらいの時間でやるか」を体に覚えさせておくことが効きます。

失点しやすいポイント

実技でつまずきやすいのは、磁化方向に対して直角でないきずを見落とす場面、観察前の照度・暗順応が不十分なまま判定に入ってしまう場面、後処理の脱磁を省いて次工程への影響を残してしまう場面などです。手順書を読みながら一通り通すだけでなく、「なぜこの順番か」を理解しておくと、本番で多少条件が変わっても対応しやすくなります。

初心者が躓きやすい3点:磁化方向・擬似指示・観察条件

鋼材に直交する2方向の磁化ときず指示・擬似指示の違いを比較する技術解説イラスト

レベル1 で押さえておくべき難所は、磁化方向の取り方、擬似指示の判別、そして磁粉と観察条件の組み合わせの3つです。系統が違うので、現場では別の手の打ち方になります。

  • 磁化方向:きずの向きと直交していないと漏れ磁束が十分に発生せず、見落としにつながります。同じ試験体に2方向以上の磁化を組み合わせるのが基本ですが、この「組み合わせの設計」は後手に回りやすく、現場で先輩の指摘を受けて気づくことが多い領域です
  • 擬似指示:断面形状の変化や粗加工痕、油分の残留などによって出る、本物のきずではない模様です。慣れないうちは過剰に欠陥として記録したり、逆に本物のきずを擬似指示と誤判定したりします。レベル1 の段階では「迷ったら判定者(レベル2 以上)に確認する」ルートを必ず確保して動くのが安全です
  • 磁粉と観察条件:磁粉の種類(湿式・乾式、蛍光・非蛍光)、適用順序、観察条件(光量、暗室、UV-A)は社内手順書や顧客仕様書に書かれていることが多いので、訓練で学んだ原則と配属先の手順書の対応関係を早い段階で確認しておくと、レベル2 受験の頃にスムーズに動けます

MT レベル1 の合格率はどう読み、どう勉強すればよいか

合格率の数字をどう見るか

JSNDI の試験は、合格率がそのまま難易度を表すわけではありません。受験者の多くがあらかじめ訓練を修了し、勤務先のサポートを受けて準備して臨むため、母集団のレベルが揃いやすく、絶対的な得点基準(各70%)で合否が決まる仕組みになっています。合格率は JSNDI が会報で方法別・レベル別に公表しており、2025年春期の新規資格試験結果(NDT フラッシュ Vol.74 No.9・2025年9月8日訂正版)では、MT レベル1 は一次試験(一般・専門)が受験者180名中73名合格で42.2%、二次試験(実技)が受験者85名中72名合格で87.8%でした。一次の合格率は UT レベル1(49.1%)と大きく変わらず、二次はレベル1 の中では高い部類です。つまり MT レベル1 の関門は実技より一次の筆記で、単年・単期の数字ではありますが、勉強時間の配分を決める材料になります。二次の受験者には前回の一次合格者からの再受験も含まれるので、通し率とは別の数字として読んでください。

一次試験の対策

一次は、JSNDI のテキストと過去問題集を中心に、出題範囲を一通り通したうえで、間違えた設問を分野別にまとめ直す進め方が効きます。具体的には次の流れで回します。

  • テキスト通読で全体像を掴む(用語・図解・規格名を押さえる)
  • 過去問を分野別(一般/専門の各論点別)に解き、誤答を分類する
  • 似た用語(磁界強さと磁束密度、残留磁気と保磁力など)の混同を一つずつ潰す
  • 直前は新範囲に手を広げず、これまでの誤答ノートを見返す

二次試験の対策

二次は、訓練機関の実習だけで本番に臨むより、勤務先の試験体・装置で繰り返し通し練習をしてから受けるほうが安定します。練習の組み立て方の例は次のとおりです。

  • 手順を口に出しながら動き、抜けを自覚する
  • タイマーで所要時間を測り、規定時間内に収める感覚をつける
  • 欠陥模様と擬似模様を意図的に作って判別する
  • 後処理(脱磁・洗浄)まで含めた一連の通し練習を繰り返す

MT レベル1 を取ると何ができるようになるのか

薄暗い現場で極間法ヨークを溶接部に当て蛍光磁粉の指示模様が浮かび上がる磁粉探傷の検査風景

MT レベル1 を取得すると、上位資格者(レベル2 以上)が作成・承認した手順書に従って、磁粉探傷の作業そのものを担当できる立場になります。具体的には、現場で電流値の最終調整、磁粉の散布タイミング管理、模様の観察と記録、後処理(脱磁・洗浄)までの一連の作業を担います。手順書の作成、検査計画の立案、最終的な合否判定といった責任は上位級が持つ分担です。

典型的な検査対象

現場で MT が使われる典型的な対象物には、次のようなものがあります。

  • 鋳鍛造品の表面割れ・湯境・引け巣の表面欠陥
  • 溶接ビード端部の止端割れ・アンダーカット
  • 軸部品のキー溝コーナーや段付き部の疲労亀裂
  • 橋梁や鉄骨の溶接部の保守点検

業界ごとの登場場面

強磁性体を扱う場面で MT は広く登場し、業界によって典型的な対象物と頻度が変わります。

  • 製造業(鋳鍛造・機械加工): 鋳鍛造品・軸部品の出荷検査で日常的に登場
  • プラント(石油・化学・電力): 圧力容器・配管溶接部の定期検査で集中的に発生
  • インフラ(橋梁・鉄骨): 保守点検時の溶接部・接合部検査で活躍
  • 輸送機器(鉄道・自動車): 車輪軸・台車部品の保守検査で定期的に使用

上位級との役割分担

レベル1 と上位級の関係は、ざっくり次のような分担になりがちです。手順書の磁化条件設定や合否判定はレベル2 以上が担当し、現場での電流値の最終調整・磁粉散布・記録はレベル1 が担当する、というイメージです。労働安全衛生法に基づく 就業上の健康管理や安全教育 の枠組みの中で、磁化装置の電気的安全、ブラックライトや磁粉に関する取り扱い、磁化後の脱磁といった衛生・安全面の配慮も含めた業務になる点が、MT 担当者の特徴の一つです。MT の資格そのものに法定の業務独占はなく、社内の認定や顧客の仕様書で「レベル1 以上」「レベル2 以上」と要求される形での運用が中心ですが、洗浄剤や前処理剤に有機溶剤が含まれる場合は有機溶剤中毒予防規則に基づく取り扱いが発生します。RT のように放射線業務従事者としての管理が要る方法とは、法令面の重さが違います。

キャリアの起点としての位置づけ

キャリアの出発点としては、レベル1 を取って現場で経験を積みながら、同じ MT のレベル2 や、他の方法(PT、UT、RT)のレベル1 を順に積み上げていくルートが一般的です。伸ばし方は大きく2つに分かれます。

  • MT 深掘りルート:同じ MT でレベル2(訓練24時間・実務経験3か月)を取り、社内の判定者として欠陥指示の評価と合否判断を担う。配管溶接や橋梁・鋼構造点検の現場では、MT を深く掘ったレベル2 が単独で価値を持ちやすい
  • 横展開ルート:UT・RT・PT・ET など別の方法のレベル1 を増やし、表面探傷と体積探傷を横断して動ける人材を目指す。自動車鍛造品やプラントの大物検査では UT との併用が前提になるため、こちらが結果的に効く

所属形態でも濃淡が変わります。メーカー内の検査部門では MT を深く掘るキャリアが組み立てやすく、検査会社では顧客の仕様書ごとに方法を増やす横展開が求められやすい傾向です。20代の未経験入社なら会社の訓練制度に乗って一直線にレベル2 を狙えますが、30代以降に他職種から転向する場合は、まずレベル1 を取って配属先で実務経験を積み、レベル2 受験までを1〜2年の中期計画で組み立てるのが現実的です。レベル1 の段階から「自分が判定するならどう書くか」を意識しておくと、レベル2 受験時に視点の切り替えで苦労しません。資格群全体の地図を先に俯瞰しておきたい場合は 非破壊検査の資格一覧と受験要件 を、MT に絞ってもう少し全体像を整理したい場合は MT の総合ガイド を併せて読むと、MT レベル1 をどの順番で位置づけるかが見えやすくなります。

MT レベル2・レベル3 へどう進むか:要件・合格率・次の資格

レベル1 を取ったあとの道筋も、受験前に見ておくと計画が立てやすくなります。JIS Z 2305 の MT はレベル1 から 3 までが用意され、任される業務の範囲が段階的に広がります。

  • レベル1:上位者が作成・承認した手順書に従って磁粉探傷を実施し、結果を記録する。判定の最終責任は持たない
  • レベル2:規格や指示書に基づいて磁化方法・装置・磁粉を選び、欠陥指示を評価して合否判定を下す。発注者の入札要件や検査会社の社内基準で「レベル2 以上」が指定されることが多く、現場で判定を任される最初のライン
  • レベル3:手順書の承認、検査体系の管理、レベル1・2 の指導と試験を担う。品質保証部門や検査会社の技術責任者の役割

レベル2・レベル3 の受験要件(GA1 の実数)

JSNDI 認証制度の案内(GA1)の表 9.1.1-1 と表 10.3-1 に載っている MT の要件は次のとおりです。訓練時間は過去 5 年以内のものが対象で、経験月数の短縮はありません。

  • レベル2:訓練 24 時間・実務経験 3 か月(レベル1 資格保持者の場合)。レベル1 を持たずに直接受ける場合は訓練 40 時間・実務経験 4 か月
  • レベル3:MT のレベル2 資格を保持していることが前提で、訓練 32 時間。実務経験は工学または科学を 2 年以上履修した人(成績証明書が必要)で 12 か月、それ以外は 24 か月
  • 限定区分:極間法に限定した MY はレベル1 が訓練 8 時間・実務 1 か月、レベル2 が 16 時間・2 か月(直接受験は 24 時間・3 か月)。通電法に限定した ME はレベル1 のみで 8 時間・1 か月(表 9.1.1-2・表 10.3-2)

試験の構成もレベルで変わります。レベル2 の一次試験はレベル1 と同じ一般試験・専門試験の筆記ですが、磁化方法の選定や判定に関する設問が増え、二次試験の実技では指示書の作成まで評価されます。レベル3 は一次が基礎試験(材料科学・製造技術、認証制度、四つの試験方法のレベル2 基礎知識)、二次が主要方法試験(レベル3 の知識、方法の適用、手順書作成問題)で、いずれも筆記です。

レベル2・レベル3 の合格率(2025 年春期)

同じ2025 年春期の新規資格試験結果では、MT レベル2 は一次試験が受験者 803 名中 239 名合格で 31.5%、二次試験が 350 名中 213 名合格で 62.7%でした。レベル1(一次 42.2%・二次 87.8%)と比べると、一次も二次も一段厳しくなり、とくに実技で差が開きます。MT レベル3 は二次の主要方法試験が申請 138 名中 6 名合格で 5.0%(パート別では D 34.4%・E 70.8%・F の手順書作成が 6.7%)と、方法の中でも際立って低い水準です。極間法限定の MY レベル2 は一次 27.0%・二次 90.9% でした。

同じ会報によると、JIS Z 2305 の MT 資格登録件数は 12,348 件で、内訳はレベル1 が 1,124 件、レベル2 が 10,419 件、レベル3 が 805 件です。8 割以上がレベル2 で、レベル1 は通過点として位置づけられていることが数字からも読み取れます。

レベル2 で問われる論点

レベル1 の勉強で押さえた磁化方向・擬似指示・観察条件に加えて、レベル2 では次の 3 点が判断の中心になります。

  • 磁化方法の選択:試験体の形状・材質・想定されるきずの方向から、軸通電法・プロッド法・コイル法・極間法のどれで磁束をきずに直交させるかを即座に決められるか。図を描いて磁力線ときずの向きの関係を手で確認する練習が効きます
  • 判定基準の運用:磁粉模様の長さ・密集度・位置から合否を判定し、パーティングラインや表面粗さ、磁極の影響による擬似指示と本物の割れを区別できるか。講習会のサンプル写真や勤務先の過去の検査記録で模様のパターンを目に焼き付ける作業が要ります
  • 規格の数値を原理から理解する:磁化電流や磁粉濃度の許容範囲を丸暗記ではなく、磁束密度と材質の透磁率から「なぜこの値か」を説明できるか。丸暗記だけでは類似のひっかけ問題に弱くなります

訓練時間の確保が最初のハードル

レベル1・2 とも、独学で参考書を読んだ時間は訓練時間に数えられません。JSNDI が認める訓練機関の講習会か、勤務先での同等の訓練で充足します。新卒・第二新卒で検査会社に入ると入社後の研修に MT・PT の訓練が組み込まれていることが多い一方、個人で受ける場合は講習会の定員と日程が制約になり、繁忙期は早く埋まります。受験計画は「訓練時間をいつ確保するか」を起点に組むのが安全です。

MT のあとに何を取るか

資格は試験方法ごとに独立しているので、MT を取ったあとに別の方法を改めて受験します。表面検査を固めるなら、材質を問わない PT(レベル1 訓練 16 時間・実務 1 か月、レベル2 24 時間・3 か月と MT と同じ枠)が次の一手で、一般試験の学習資産がそのまま活きます。内部きずまで扱うなら UT か RT ですが、UT・RT はレベル1 で訓練 40 時間・実務 3 か月、レベル2 で 80 時間・9 か月と要件が重く、UT は波の物理、RT は放射線管理の責任が加わります。MT・PT 中心でも需要は安定していますが、UT・RT まで持つ人材のほうが任される検査計画の幅は広くなります。組み合わせの考え方はMT と PT の資格・需要・キャリア比較にまとめています。

次に何をするか

MT レベル1 を受けるかどうかは、受験資格・試験構成・勉強法・取得後の役割の 4 つを自分の今の立場に重ねると判断しやすくなります。立場別に、優先して確認したい論点が変わります。

  • すでに勤務先で MT を任されている人: 社内の訓練枠と費用負担の制度、次の試験日程までの猶予を確認するのが最短です。
  • 他試験種目(PT/UT)の有資格者で MT を追加する人: 一般試験は学習資産が活きるので、専門試験と実技に絞って準備時間を組むと効率が良くなります。
  • 未経験から非破壊検査業界に入ろうとする人: まず自分が入りたい業界(製造、プラント、インフラ、輸送機器など)でどの試験種目が中心になるかを見て、MT が最初か、PT や UT が先かを比較してから選ぶと、後悔が少なくなります。

たとえば、どの訓練機関を選ぶか、MT を先にするか PT・UT を先にするか、社内の費用負担枠をどう使うかといった、MT レベル1 を受けるかどうかと並んで悩みやすい論点もまとめて整理できます。業界の選択肢や自分の経歴に合う進み方を整理する段階で迷っているなら、転職するかどうかを決める前に話してみるだけでも、次の一手は見えやすくなります。今の経験で見える業界・職種・資格の組み合わせを並べ直すための場として、無料キャリア相談 を用意しています。

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