応急危険度判定と罹災証明の違いは?3つの制度を比較【2026年版】

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被災した建物・擁壁のある宅地・窓口の証明書類を3つ並べ、目的の違いを示した俯瞰イラスト
目次

3つの制度が混同されるのはなぜか

地震のあと、自宅の玄関に赤い紙が貼られている。あるいは罹災証明の窓口で、危険と貼られたはずの家が全壊にはならないと説明される。この記事は、そうした場面で何が起きているのかを知りたい方のために、災害後の建物・宅地の調査制度をまとめました。被災した側として制度を知りたい方にも、建築士や構造物の点検に関わる技術者として調査を担う側に関心がある方にも読んでもらえる内容にしています。

災害後に行われる建物の調査は、大きく3つに分かれます。応急危険度判定は、地震のあとに建築物へいま近づくと危ないかを判断し、二次災害から人を遠ざけるための緊急の判定です。被災宅地危険度判定は、同じ目的を宅地の側、つまり擁壁やのり面といった土地に対して行うものです。そして住家被害認定は、住まいの被害がどの程度かを認定し、罹災証明書の交付につなげるための調査です。前の2つは危険から人を守るため、最後の1つは生活の立て直しを支えるためにあります。

この3つが混同されるのには理由があります。どれも災害の後に人が現地へ来て、建物や土地を見て、何かを記録していくからです。被災した人から見れば、来る人が違っても作業の見え方はよく似ています。しかも「判定」「認定」「調査」といった言葉が制度をまたいで使われるため、名前だけでは区別がつきません。

けれど中身は別物です。目的が違えば急ぐ度合いも違い、担当する人の立場も違います。片方は建築士等が登録して担う制度で、もう片方は市町村の職員等が行政の事務として行うものです。結果として建物に貼られる紙も、交付される書類も、意味するところが変わってきます。この違いを取り違えると、被災した人は冒頭のような場面で戸惑うことになりますし、調べる側に回る人は自分がどの制度の担い手なのかを説明できなくなります。参照したのは、内閣府が2026年6月に改定した被害認定の運用指針と、全国被災建築物応急危険度判定協議会が2026年8月時点で公開している情報です。

応急危険度判定は何を判断する制度か

地震で傷んだ建物の玄関脇に判定結果のステッカーを貼る仕組みを、緑・黄・赤の3色で示した図

応急危険度判定は、地震のあとに被災した建築物を見て、いま近づくと危ないかどうかを短時間で判断する仕組みです。正式には被災建築物応急危険度判定と呼ばれ、都道府県の講習を受けて登録した応急危険度判定士が担います。

見ているのは、余震で建物が倒れる危険や、外壁・ガラス・看板といった部材が落ちてくる危険です。建物の持ち主が荷物を取りに戻ったり、避難所へ行かずに自宅で過ごそうとしたりする動きは、災害のたびに起きます。余震が続く時期にそれを放置すると、地震そのものを生き延びた人が、そのあとの建物の壊れ方で命を落とすことになりかねません。判定はその時間帯の危険を減らすために行われます。

結果は、判定士が建物の見やすい場所にステッカーを貼って伝えます。色は調査済(緑)・要注意(黄)・危険(赤)の3種類です。

  • 緑(調査済):判定した時点で、使用にあたって特段の制限を要しないと判断されたもの
  • 黄(要注意):立ち入る際に十分な注意が必要で、応急的な処置や専門家への相談が要るもの
  • 赤(危険):倒壊や部材の落下の危険があり、立ち入ること自体が危ないと判断されたもの

文書で個別に通知するのではなく建物そのものに表示するのは、持ち主が不在でも、近づこうとした人がその場で危険を判断できるようにするためです。

この表示の仕組みは、2026年7月に動きがありました。全国協議会は同月、判定マニュアルを約30年ぶりに改訂しています。建築物の危険度を調査済・要注意・危険で示す考え方は変わっていませんが、ステッカーが対象物ごとに整理され、建築物用に加えて落下危険物用と転倒危険物用が設けられました。あわせて落下物注意シールは廃止され、判定調査表にはチェックボックスが新設されています。協議会は判定方法そのものは改訂していないと明記しており、変わったのは結果の伝え方と記録の様式です。

実施するのは被災した市町村です。全国被災建築物応急危険度判定協議会は、判定活動を「市町村が地震発生後の様々な応急対策の一つとして行うべきもの」とし、都道府県は「管内被災市町村の行う判定活動の支援を行うことが望ましい」としています。判定士が自分の判断で被災地へ入るのではなく、被災した市町村が判定の実施を決め、都道府県がその市町村を支えながら判定士に動員がかかるという順序です。被害が一つの自治体で抱えきれない規模になったときには、都道府県を越えた広域の応援が行われます。大きな地震のあとに遠方の都道府県に登録している判定士が現地に入るのは、この仕組みによるものです。

この判定は、罹災証明のための調査でも、建物を今後使い続けてよいかどうかの判断でもありません。全国協議会も「罹災証明の為の調査や被災建築物の恒久的使用の可否を判定するなどの目的で行うものではありません」と明記しています。緊急かつ暫定的な判断であり、あとから行われる詳細な調査で評価が変わることを制度の側があらかじめ織り込んでいます。

住家被害認定と罹災証明書はどうつながっているか

もう一方の柱が、罹災証明書を出すための調査です。こちらは住家被害認定と呼ばれ、住まいの被害がどの程度なのかを定められた基準にあてはめて認定していきます。住家被害認定は、危険から人を遠ざけるための調査ではなく、生活を立て直す段階のための調査です。

基準になるのが、内閣府がまとめている災害に係る住家の被害認定基準運用指針です。2026年6月改定版が公開されており、災害の種類ごとに次の4編で構成されています。

  • 第1編:地震による被害
  • 第2編:水害による被害
  • 第3編:風害による被害
  • 第4編:液状化等の地盤被害による被害

同じ「住まいが壊れた」でも、揺れで壊れたのか、水に浸かったのか、風で飛ばされたのか、地盤が動いたのかで、見るべき箇所も傷み方も違うためです。この指針に沿って市町村が調査を行うことで、担当者や地域による判断のばらつきを抑えています。

調査では、住家の傾斜や、屋根・壁・基礎といった部位ごとの損傷程度から損害割合を算定し、その割合に応じて被害の程度を判定します。運用指針の第1編(地震による被害)では、区分と損害割合の対応が次のように定められています。

  • 全壊:損害割合 50%以上
  • 大規模半壊:40%以上50%未満
  • 中規模半壊:30%以上40%未満
  • 半壊:20%以上30%未満
  • 準半壊:10%以上20%未満
  • 準半壊に至らない(一部損壊):10%未満

この調査の結果をもとに交付されるのが罹災証明書です。根拠は災害対策基本法第90条の2第1項で、市町村長が交付すると定められています。応急危険度判定が現場の判定士の判断を建物に貼って示すのに対して、こちらは行政が住民に対して発行する公的な書類です。

この書類が重く扱われるのは、被災した人が受けられる支援の入口になるからです。支援金や税・保険料の減免、仮設住宅の入居など、内閣府が示す被災者支援の各種制度が被害の程度を前提に組み立てられており、罹災証明書はその適用を判断する基礎資料として使われます。

調査は一度で終わりとは限りません。最初に行われる第1次調査は外観目視による調査で、外観の損傷状況と住家の傾斜、外から目視できる部位の損傷程度を把握して判定します。この結果に納得できない場合、被災者からの申請があれば第2次調査が行われ、内部に立ち入った確認を含めて改めて判定されます。さらに再調査の依頼があったときは、依頼の内容を精査したうえで必要に応じて再調査が実施されます。住民の側から申請して調べ直してもらう道が、制度としてあらかじめ用意されているということです。

被災宅地危険度判定は何を対象にしているか

はらんで傾いた擁壁と地盤の亀裂が残る宅地。建物より土地の側の危険を調べる現場

3つ目が被災宅地危険度判定です。名前が応急危険度判定とよく似ているため、同じ制度の一部だと受け取られがちですが、別の制度として運用されています。

いちばんの違いは対象です。応急危険度判定が建築物そのものを見るのに対して、被災宅地危険度判定は宅地を見ます。擁壁が傾いたりはらんだりしていないか、のり面や斜面に崩れの兆候がないか、地盤に亀裂や沈下が生じていないかといった、建物が載っている土地の側の危険を判断します。

この違いが効いてくるのは、造成された住宅地が被害を受けたときです。建物自体は大きく壊れていなくても、支えている擁壁が崩れかけていれば、そこに住み続けることは危険です。逆に、宅地は無事でも建物が傾いていることもあります。建物と宅地は別々に見ないと危険を取りこぼすため、判定の枠組みが分けられています。

判定結果の伝え方も建築物側とよく似ています。危険宅地・要注意宅地・調査済宅地の3区分に分かれ、宅地の見やすい場所にステッカーを表示して知らせます。色は危険が赤、要注意が黄、調査済が青で、建築物側の緑とは分けられています。こちらも緊急かつ暫定的な判断である点は応急危険度判定と同じで、その後の詳しい調査や復旧の検討で評価が変わり得ます。

現地の動き方には、宅地ならではの事情が出ます。国土交通省の被災宅地危険度判定 広域支援マニュアル(令和元年8月)では、宅地判定士3名でチームを組むことを前提に、必要な人数と班の数を見積もります。1班が1日に判定できる件数は、2016年の熊本地震と鳥取県中部地震の実績から20宅地程度と想定されています。この2つの地震では、被害がなく目視で安全と見なせる宅地を対象にする簡易判定が導入され、限られた人員で広い範囲を短期間に調べる必要に対応しました。調査期間は10日以内を原則としつつ、実際には熊本地震で60日、鳥取県中部地震で14日を要しています。応援に入る班については1班あたり3日間の調査期間を確保することが基本とされており、判定士は数日単位で現地に入る形になります。宅地は1件ごとに擁壁や地盤の状態を見る必要があるぶん、移動と確認に時間がかかる領域です。

担い手も別で、被災宅地危険度判定士が行います。求められるのは土木や造成、地盤に関する知識であり、建築を専門としてきた人と、土木や地盤を専門としてきた人とで、関わりやすい制度が変わってきます。

目的・実施主体・担い手で3制度を並べるとどう違うか

3つの制度は、実施主体がいずれも市町村である点で共通しています。差が出るのは、何のために行うのか、誰が現地で見るのか、結果が何のかたちで残るのかという3点です。

目的で比べると、危険を防ぐための2つと、被害を認定するための1つに分かれます。

  • 応急危険度判定:建築物による二次災害を防ぐ
  • 被災宅地危険度判定:宅地の被害による二次災害を防ぐ
  • 住家被害認定:住まいの被害の程度を認定する

現地で見る人で比べると、立場が分かれます。

  • 応急危険度判定:都道府県に登録した応急危険度判定士
  • 被災宅地危険度判定:登録した被災宅地危険度判定士
  • 住家被害認定:市町村の職員等

結果として残るものも、制度ごとに形が違います。

  • 応急危険度判定:調査済・要注意・危険の3色ステッカー
  • 被災宅地危険度判定:調査済宅地・要注意宅地・危険宅地の3区分の表示
  • 住家被害認定:市町村長が交付する罹災証明書

何のために行うのか(目的)

この目的の違いが、他のすべての違いの出発点になります。急いで人を守る判断は、外から短時間で見て粗くても早いことに価値があります。支援につながる判断は、時間をかけて細かく見ることに価値があります。同じ建物を見ていても、優先しているものが違えば手順も精度も変わります。

誰が動かしているのか(実施主体と担い手)

実施主体が同じ市町村でも、人の集め方が違います。判定士は多くが民間で本業を持ち、災害時に外部から集まる専門家です。大きな災害では都道府県を越えた広域の応援で人を確保します。一方の認定調査は行政の事務なので、足りなければ自治体間の職員応援でまかなわれます。前者は平時のうちに登録者を確保しておく制度設計、後者は行政組織の相互支援という違いです。

結果は何のかたちで残るのか

ここで効いてくるのが、被災者自身が動く必要があるかどうかの違いです。危険度判定は行政の側から地区を回るかたちで進み、被災者が申し込むものではありません。一方、罹災証明書は交付を受けるために被災者が申請し、結果に納得できなければ再調査を求めることもできます。時期の前後で言えば、危険度判定が発災直後に、住家被害認定はその後に行われます。

赤いステッカーが貼られた家が全壊とは限らないのはなぜか

災害のあとによく聞かれるのが、赤いステッカーを貼られたのに罹災証明では全壊にならなかった、あるいは緑だったのに調べ直したら大きな被害が見つかった、という話です。制度の違いが分かると、これは矛盾ではなく設計どおりの結果だと理解できます。

応急危険度判定が見ているのは、いまこの建物に近づくと危ないかどうかです。たとえば構造そのものの損傷は限定的でも、外壁の一部が落ちかかっていたり、隣の建物が倒れかかっていたりすれば、立ち入りは危険だと判断されます。逆に、内部の柱や梁に深刻な損傷があっても、外から短時間で見た範囲では分からないこともあります。短時間で多くの建物を回ることを優先する仕組みのため、外から確認できる危険を先に拾うからです。

住家被害認定が見ているのは、住まいとしての被害がどの程度かという別の軸です。損害割合が50%以上なら全壊、20%以上30%未満なら半壊というように、部位ごとの損傷を積み上げて区分にあてはめていきます。外観だけでは分からない被害も、第2次調査まで進めば評価の対象に入ってきます。同じ建物を見ていても、測っているものさしが違えば結果がそろわないのは自然なことです。

この関係は、内閣府の運用指針にも書き込まれています。指針は、応急危険度判定で建築物の全体または一部の崩壊・落階や著しい傾斜によって「一見して危険」と判定された住家について、その判定結果を参考にして「全壊」の被害認定を行うことも可能だとしています。そのうえで、参考にできない場合があることに留意するよう促しており、例として、棟全体から見ればごく一部の崩壊に過ぎない場合でも、二次災害を防ぐ観点からその棟を「一見して危険」と判定することがある、と説明しています。赤いステッカーが全壊を意味しないことを、認定する側の基準そのものが前提にしているわけです。

先に貼られる紙は支援の量を約束するものではなく、あとから出る書類は危険の有無を示すものでもありません。被災した人にとっては紙一枚がこれからの生活を左右するように感じられる場面ですが、判定と認定は別の手続きとして進むということを、調べる側に回る人ほど落ち着いて説明できる必要があります。

判定する側に回るには何が必要か

判定士として関わるルートは、制度ごとに入口が分かれます。

応急危険度判定士になるには

応急危険度判定士になる道は、試験に合格して資格を得るかたちではありません。流れは大きく3つの段階に分かれます。

  • 前提となる資格を持つ:建築士をはじめとする建築の専門資格が出発点になる
  • 都道府県の講習を受ける:判定の目的や判断基準、調査票の使い方、現場での安全確保や住民対応を学ぶ
  • 知事の登録を受ける:登録されると判定士証が交付され、災害時の動員の対象になる

講習は座学と判定の演習で構成され、判定基準の理解と調査票の書き方に時間が割かれます。所要時間は府県により異なり、半日程度で実施する例もあります。現地に入ってからは、判定士は原則として2人1組で担当地区を回ります。1人が建物の外観を目視で調べ、もう1人が調査票に記録するという分担で、そのままステッカーを貼るところまでを一連の作業として進めます。限られた時間で多くの棟を扱うため、判断は外観から確認できる範囲が中心になり、迷いが残る場合は安全側に倒すことが基本です。技術そのものと同じくらい、班としての安全管理と、貼った結果を住民に説明する場面への備えが求められます。

登録の中心になるのは一級建築士・二級建築士・木造建築士といった建築士資格ですが、対象の範囲は都道府県が定めており、建築設備士や建築物調査員まで対象に含めている府県もあります。建築・土木・危機管理の業務経験がある行政職員や、他の都道府県で認定を受けた人を対象とする運用も見られます。有効期間は都道府県ごとに異なり、全国一律ではありません。大阪府のように5年と定めて期限前の更新手続きを求める府県がある一方、千葉県は2009年4月から自動更新となり更新の手続きそのものが不要です。広島県は2022年に有効期限を廃止しました。更新時に養成講習の再受講まで求めるかどうかも運用が分かれ、北海道は2025年10月から更新対象者の講習受講を免除しています。災害時以外に日常的な業務が生じる制度ではないので、平時の負担は登録を維持しておくことが中心になります。対象資格の範囲・有効期間・更新方法は都道府県ごとに異なるため、住んでいる、あるいは勤めている都道府県の窓口で確認することになります。制度の成り立ちや登録の流れは応急危険度判定士の登録要件の記事で扱っています。

被災宅地危険度判定士になるには

被災宅地危険度判定士も登録して災害時に協力する仕組みですが、入口の性格が少し違います。登録先は都道府県だけでなく政令指定都市も含まれ、想定される前提は土木・造成・地盤の実務経験に寄ります。宅地造成や擁壁の設計・施工、地盤調査に携わってきた人のほうが、講習の内容も現場の判断も接続しやすい領域です。現地での組み方も違い、建築物側が2人1組で回るのに対して、宅地側は3名でチームを組む前提で人数が算定されます。建築士として応急危険度判定士に登録している人が、宅地側にも関わろうとして両方に登録するケースもあります。

住家被害認定の調査は誰が担うのか

住家被害認定の調査は、これらとは性格が異なります。行政の事務として市町村の職員等が担うもので、民間の技術者が登録して参加するという枠組みではありません。大きな災害では自治体間の応援によって他の市町村から職員が入ることもあります。民間の立場から災害後の建物に関わりたい場合は、判定士としての登録が現実的な入口になります。

同じ登録でも、いまの立場によって現実味は変わります。建築士資格を取った直後であれば、登録はできても動員がかかるとは限らず、建物の壊れ方を見る目を実務で養う期間が要ります。実務10年以上で構造設計や改修に関わってきた人は、現場での判断に裏づけがあるぶん登録が活きやすく、班のなかで判断を任される場面も増えます。自治体の技術職であれば、判定士として登録して現地に出る道と、認定調査を担当する側に回る道の両方に接点があります。

判定士の登録は、収入に直結する種類の資格ではありません。判定活動は報酬を目的としたものではなく、社会貢献としての性格が強い制度で、求人の応募条件として並ぶこともほとんどありません。災害時に自分の技術を人の安全のために使いたいという動機で選ぶものです。

建物の傷みを読む技術は災害以外でどう活きるか

判定士の登録そのものが転職市場で高く評価されるわけではないとしても、そこで身につく見方には広がりがあります。建物や構造物がどう壊れるか、どの兆候が危険の前触れなのかを読む力は、災害の現場だけのものではないからです。

災害後の構造物には、時間の流れに沿った段階があります。発災直後に二次災害を防ぐ段階、被害の程度を認定する段階、そして復旧や補強の設計と施工に移る段階です。この記事で扱った3制度はいずれも前半に位置していて、そのあとの段階には別の資格や実務経験を持つ技術者が関わっていきます。段階ごとにどんな資格が関係するかは災害復旧に関わる資格のフェーズ別整理にまとめています。

さらに長い目で見ると、壊れてから調べる仕事だけでなく、壊れる前に見つける仕事があります。橋やトンネル、プラント設備といった構造物を定期的に点検し、内部の傷みを表面から捉える技術の領域です。国内のインフラは建設から時間が経ったものが増えており、点検と診断の担い手は継続して求められています。この分野でどんな資格がどう積み上がっていくのかは非破壊検査の資格一覧と取得ロードマップで扱っています。災害時の判定に関心を持つ人と、構造物の診断を専門にしたい人の関心は、実際にはかなり重なっています。

制度の違いを押さえたうえで次に何を考えるか

3つの制度に共通するのは、実施主体が市町村であることだけです。応急危険度判定と被災宅地危険度判定は危険から人を遠ざけるための緊急の判断であり、住家被害認定は罹災証明書を通じて生活の立て直しにつなげるための認定です。名前の似ている制度が並んでいるのは、災害後に必要な判断が一種類ではないからです。

そのうえで、自分がどこに関わりたいかは別の判断になります。災害時に力を使いたいという動機と、本業で専門性を伸ばして働き方や収入を良くしたいという動機は、両立はしますが同じ道ではありません。ただ、この2つはどちらかを選ぶ関係というより、順番の問題になることが多いものです。判定士として登録できる前提には建築や土木の実務があり、その実務を深めることが本業の評価につながり、結果として災害時に動ける技術の裏づけにもなります。構造物を診る仕事を軸にしていきたいなら、いま持っている資格と実務経験からどの方向に進めるのかを見渡すところが出発点です。テンキャリの無料キャリア相談では、インフラ点検や構造物診断の分野で今の経験がどう評価されるかを、実際の求人と照らして整理しています。

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