電気主任技術者の合格率の読み方|科目合格制と一種〜三種の違い【2026年版】

4つの科目ブロックを段階的に積み上げて資格証へ向かう道と、背景の変電設備のイラスト
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電験の合格率は何%か、一つの数字で判断できない理由

電気主任技術者試験(電験)の合格率を調べている人の多くは、「自分に取れる資格なのか」「どれくらいの期間を見込めばいいのか」を知りたいのだと思います。ところが、ネット上で目にする「電験三種の合格率は約1割」「二種は二次で大きく絞られる」といった一言は、どの数字を分子と分母にしたのかが書かれていないことが少なくありません。

電験の合格率は、第三種・第二種・第一種という区分、一次試験と二次試験という段階、そして科目別合格制という仕組みの3つを踏まえないと正しく読めません。同じ「合格率」でも、どの区分のどの段階を、何年分の受験で見ているかによって意味が変わるからです。

電気技術者試験センターの公表値から計算すると、第三種の合格率は令和5〜7年度の年度合計で約13〜19%、第二種・第一種の二次試験は令和6・7年度で約16〜32%でした。第二種・第一種の一次試験は同じ2年度でおおむね3割前後です。ただし、どの数字も分母に誰を含めるかで値が変わり、年度ごとの振れ幅も小さくありません。記事中の割合はすべて、2026年9月時点で公表されている受験者数と合格者数から計算した目安で、試験のたびに変わります。

電験三種の合格率は年度でどれくらい動くのか

第三種電気主任技術者試験は、令和4年度から上期と下期の年2回実施されています。電気技術者試験センターの第三種電気主任技術者試験の結果と推移によると、直近3年度の年度合計は下のようになっています。

  • 令和5年度:受験者52,735人、合格者9,894人(割り算すると約18.8%)
  • 令和6年度:受験者49,963人、合格者8,181人(約16.4%)
  • 令和7年度:受験者48,942人、合格者6,365人(約13.0%)

受験者数はほぼ横ばいなのに、合格者数は3年で3,500人ほど減っています。割合にすると5ポイント以上の差で、「電験三種の合格率は何%」と一つの数字で語れないことがよく分かります。令和7年度の上期(受験者24,766人・合格者3,201人)と下期(受験者24,176人・合格者3,164人)はどちらも約13%でしたが、これも回ごとに変わりうる値です。

もう一つ注意したいのが、公表表の受験者数の定義です。試験センターの表には「受験者数は、1科目でも出席した方の合計」という注記があります。つまり分母には、4科目すべてを受けた人だけでなく、科目合格を持っていて残りの1科目だけを受けに来た人も含まれています。

科目別合格制で年度の合格率と最終合格の割合がずれるのはなぜか

理論・電力・機械・法規の科目を試験回ごとに1つずつ取得し、4枠がそろうまでの流れを表した図

第三種の試験科目は理論・電力・機械・法規の4科目です。試験センターの電気主任技術者試験の概要では、科目別合格制が採られており、合格した科目には有効期限があって、その期間(3年間)を使って勉強する方法も採れると説明されています。

1回の試験で4科目そろえる人ばかりではない

公表表に出てくる3つの人数は、それぞれ次のものを数えています。

  • 受験者:その回に1科目でも出席した人
  • 合格者:その回で4科目すべてがそろい、最終合格した人
  • 科目合格者:その回で一部の科目だけ合格した人

科目別合格制のもとでは、ある回で2科目に合格し、次の回以降で残りの科目を取って最終合格に至る、という進め方ができます。令和7年度の場合、合格者6,365人に対して科目合格者は13,539人でした。合格者の2倍を超える人が、何科目かを持ったまま次の回に進んでいることになります。

科目を分けて取ると、同じ人が毎回分母に数えられます。例えば、ある年の上期に理論と法規の2科目に合格し、下期に機械、翌年度の上期に電力に合格した人は、その翌年度上期の「合格者」に数えられます。一方、その前の回までは「科目合格者」として表に載り、分母の「受験者」にも毎回数えられています。1人の受験者が複数回にわたって分母に入るため、年度の割合だけを見ると、受験を続けている人が最終的に合格する割合より低く見えやすいのです。

逆に、1回目で4科目をそろえようとしている人にとっては、年度の合格率は楽観材料にも悲観材料にもなりません。年度の合格率は「初めての受験で4科目合格する割合」とも別の数字だからです。

単年度の割合と累積の合格率は別物

このため、年度の合格率(その年度に4科目がそろった人÷その年度に1科目でも受けた人)は、「受験を始めた人が有効期間内に最終合格までたどり着く割合(累積の合格率)」とは一致しません。累積の合格率は公表表からは直接計算できないので、「電験三種は約1割しか受からない」と読むのも、「数年かければほとんどの人が受かる」と読むのも、どちらも公表値だけでは言い切れない話です。科目合格者数の多さは、分割して取りに行く受験者が相当数いることを示しています。

電験一種・二種の合格率は一次と二次でどう違うのか

第一種と第二種は、第三種と試験の組み立てが違います。試験センターの概要によると、第一種と第二種は一次試験と二次試験の2段階で、第三種は一次試験のみです。一次試験は第三種と同じく理論・電力・機械・法規の4科目で科目別合格制があり、二次試験は電力・管理と機械・制御の2科目で、科目別合格制はありません。一次試験に合格した年度に二次試験で不合格になっても、翌年度は一次試験が免除されます。

3つの区分を並べると、次のようになります(割合は令和7年度の公表値から計算)。

  • 第三種:一次試験のみ(4科目・科目別合格制あり)。年度合計の合格率は約13.0%
  • 第二種:一次試験(4科目・科目別合格制あり)+二次試験(2科目・科目別合格制なし)。一次は約35.0%、二次は約16.5%
  • 第一種:第二種と同じ2段階。一次は約32.0%、二次は約31.7%

第二種の数字

第二種電気主任技術者試験の結果と推移から段階ごとに割り算すると、次のようになります。

  • 令和6年度:一次試験 受験者7,479人・合格者2,159人(約28.9%)/二次試験 受験者2,922人・合格者553人(約18.9%)
  • 令和7年度:一次試験 受験者7,211人・合格者2,524人(約35.0%)/二次試験 受験者3,692人・合格者611人(約16.5%)

第一種の数字

第一種電気主任技術者試験の結果と推移から計算すると、第一種は下のようになります。

  • 令和6年度:一次試験 受験者1,433人・合格者428人(約29.9%)/二次試験 受験者720人・合格者112人(約15.6%)
  • 令和7年度:一次試験 受験者1,569人・合格者502人(約32.0%)/二次試験 受験者772人・合格者245人(約31.7%)

一次の割合が三種より高く見えても、易しいわけではない

一次試験の割合だけを見ると第三種より高く見えますが、受験者層が違うため、割合の高さがそのまま難易度の低さを意味するわけではありません。第一種・第二種を受ける人の多くは、すでに第三種を持っているか、同じ4科目をより深い水準で学んできた人です。そのうえで二次試験は記述式の2科目を一度にそろえる必要があり、第一種の二次試験は令和6年度の約15.6%から令和7年度の約31.7%へと、1年でおよそ2倍に動いています。受験者が数百人規模の区分では、1回ごとの割合の振れ幅が大きくなりやすいことも頭に入れておくと、数字に振り回されにくくなります。

また、二次試験の分母は「その年度に二次を受けた人」で、一次試験合格者と一次試験免除者(前年度に一次合格した人など)の両方が含まれます。一次から二次までを通した累積の合格率は、この表からは単純に掛け算できません。第二種の試験構成の詳細は電験二種の監督範囲と二次試験の構成でも整理しています。

電験の合格率は公表値でどう確かめるのか

最新の公表値は、次の手順で確認できます。

  • 電気技術者試験センターの公式サイトを開き、電気主任技術者試験の区分(第一種・第二種・第三種)を選ぶ
  • 各区分の「試験結果と推移」のページで、年度ごとの受験者数・合格者数・科目合格者数を確認する
  • 表の注記(受験者数の定義、一次試験免除者の扱い)を読んでから、自分で割り算する
  • 単年度だけでなく、少なくとも直近3年度を並べて振れ幅を見る

割り算するときは、分母が「受験申込者」なのか「受験者」なのかで値が大きく変わります。第三種の令和7年度は、受験申込者66,551人に対して受験者は48,942人でした。申込者を分母にすると合格率は低く出るので、他のサイトの数字と比べるときは、どちらを使っているかを確かめてください。

試験日程や受験案内、試験方式の変更も同じサイトに掲載されます。合格率の数字を探すついでに、自分が受ける回の日程と申込期間も確認しておくと、学習計画の起点が決まります。

合格率から学習計画はどう立てればいいか

合格率は「どれくらいの人が受かったか」を示す数字で、「自分がどれくらい勉強すれば受かるか」を直接教えてくれるものではありません。計画に使うなら、数字そのものより、試験構成と自分の前提知識の組み合わせで考えるほうが実態に合います。

第三種なら、4科目の配分と受験回数を先に決める

理論・電力・機械・法規のうち、どの科目から手を付け、何回の受験で4科目をそろえるかを先に決めておくと、年度の合格率の上下に一喜一憂せずに済みます。電気系の学校を出ている人と、電気の実務経験がない人では、最初の1回で狙える科目数も違います。科目合格の有効期間の中で、一度に全科目を狙うのか、分けて取るのかを、仕事の繁閑も含めて決めるのが現実的です。

立場によっても、科目別合格制の使い方は変わります。

  • 電気工事士などで電気の実務に触れている人:現場で見慣れた内容が多い科目から先に固める進め方が考えられます
  • 電気系以外の仕事をしている社会人:ほかの科目の土台になる理論に時間を割いてから、残りの科目へ広げる進め方があります
  • 学生:授業で扱う範囲と重なる科目をまとめて受けるなど、学期の予定に合わせて組めます

受験回数の組み方も、1回で4科目すべてを狙う、1回に2科目ずつ取る、得意な3科目を先に取り残り1科目に集中する、といった形が考えられます。どれを選ぶかは、科目合格の有効期間と、試験のたびに確保できる学習時間の見込みで決まります。

学習量の見積もりも、合格率から逆算するより、過去問を1回分解いてみて科目ごとの理解度を確かめるほうが現実的です。4科目それぞれで、解説を読めば理解できる問題がどれくらいあるか、そもそも用語が分からない問題がどれくらいあるかを把握すると、どの科目にどれだけ時間を割くべきかが見えてきます。

第一種・第二種なら、二次試験の準備期間を別に確保する

一次試験に合格した翌年度は一次が免除されるため、「一次合格の年は二次も受けて感触をつかみ、翌年度に二次に集中する」という計画を立てる人もいます。二次試験は記述式で、計算の過程や説明を自分の言葉で書く力が問われるため、一次の勉強とは別の準備時間を見込んでおくと安全です。

合格率の数字に振り回されないために

合格率の低さに気後れする人もいれば、数字を見て受験を先延ばしにする人もいます。区分ごとの監督範囲や選任の仕組みは電気主任技術者の選任義務と第一種〜第三種の違いで詳しく扱っています。

資格を取ったあとのキャリアをどう描くか

ビルの受変電室に並ぶキュービクルと、点検用チェックリストや絶縁手袋が置かれた保安点検の場面

電験は、合格したあとに何をするかで価値の出方が変わる資格です。第三種であれば電圧5万ボルト未満(出力5千kW以上の発電所を除く)の事業用電気工作物の保安監督ができ、ビルや工場の電気設備、発電設備の保安の現場で選任の対象になります。保安監督の資格で、電気工事の作業を行う電気工事士とは役割が異なります。実際の仕事の中身は電気主任技術者の仕事内容と1日の流れが参考になります。

監督範囲の区分は電気事業法に基づく主任技術者制度の中で定められています。第二種は電圧17万ボルト未満、第一種はすべての事業用電気工作物が監督範囲です。上位の区分ほど大規模な設備を担当できる一方で、試験の段階も増えます。合格率の数字を比べる前に、自分が携わりたい設備の規模に対してどの区分が必要なのかを確かめておくと、無理のない目標設定になります。

勉強を始める前でも、取得後にどんな職場や働き方が選べるのかを知っておくと、どの区分をいつまでに取るかの判断がしやすくなります。転職するかどうかは、話してから決めれば大丈夫です。科目合格の途中なのか、第三種を取ったあとなのかといった受験の段階ごとに、応募を検討できる職場や働き方を並べ直したいときは、無料キャリア相談で一緒に整理できます。

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