RT レベル3の試験内容は?基礎試験・主要方法試験の6パートと受験要件

溶接部の上にX線管、下に検出器を置いた撮影配置と、条件を書き込む手順書のイラスト
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RT レベル3の試験は6パートすべて筆記、各70%以上で合格

RTレベル3の取得の流れ。受験申請、一次の基礎試験A・B・C、二次の主要方法試験D・E・Fを各70%以上で通り、合格後2年以内に認証申請する

レベル2の二次試験で試験体を撮って判定した経験がある人ほど意外に感じるのが、レベル3は二次も筆記で、手順書を書く試験だという点です。放射線透過試験(RT)のレベル3の試験は、一次の基礎試験(A・B・C)と二次の主要方法試験(D・E・F)という計6パートの筆記試験で、各パート70%以上が合格基準です。合格しても、認証登録には学歴に応じて18か月か36か月の実務経験が要ります。認証の申請は合格後2年以内に限られるので、36か月の人は受験前に逆算が必要です。試験の構成・合格基準・訓練時間・経験月数は、一般社団法人日本非破壊検査協会(JSNDI)が公開している JIS Z 2305:2013 の認証制度の案内(GA1、2026年7月1日版)に載っている値だけを使っています。

RT レベル3は何を任される資格か:レベル2との責任範囲の違い

レベル2は、手順書に従って検査を実施し、規格や仕様書を実際の作業条件に合わせた検査指示書に書き換え、結果を解釈・評価する立場です。レベル3は、その手順書そのものを作り、技術上の精査と妥当性の実証まで行い、試験設備や試験センターとその職員について全責任を負うことを許可されうる立場です(JSNDI GA1 §5)。

GA1 が引用している JIS Z 2305:2013 の記述では、レベル3技術者は「現行の規格、コード及び仕様書によって結果を評価し、解釈する力量」に加えて、試験方法の選択や技法の確立を補佐できるだけの材料・製造・プロセスに関する知識、そして他の試験方法についての一般的な知識を実証している、とされています(JSNDI GA1 §5.3)。つまりレベル3の試験は、RTの深い知識だけを問うのではなく、手順書を作り、試験方法や技法を決める側として材料や製造プロセスを理解し、他の方法との使い分けを説明できるかまで見る試験です。

RTの現場で言えば、レベル2のうちは撮影配置や像質の確認を手順書どおりに実施し、フィルムやデジタル画像を判定する役割が中心です。レベル3になると、新しい対象物や規格に対して「どの線源・どの配置・どの像質基準で撮るか」を手順書として定め、レベル1・2の技術者を指導する側に回ります。放射線透過試験の仕事全体の見取り図は放射線透過試験(RT)の総合ガイドに整理してあるので、レベル2以前の話はそちらにまとめています。

RT レベル3の受験資格は?レベル2保持・過去5年で40時間の訓練・視力証明

レベル3の新規試験を受けるには、申請時点で揃えるものが三つあります(JSNDI GA1 §9.1)。

  • 申請する試験方法のレベル2資格を保持していること。RTのレベル3を受けるなら、RTのレベル2が必要で、UTのレベル2では代わりになりません。
  • 過去5年間に最小限の訓練時間を満たしていることを、訓練実施記録と集計表で証明すること。
  • 近方視力と色覚の証明。近方視力は過去1年以内の証明で、Times New Roman N4.5 相当の文字を30cm以上離れて読めること(矯正可)、色覚は申請する方法で使う色彩やグレイスケールのコントラストを識別できることを雇用主が証明します。

訓練時間は、レベル3の方がレベル2より短い点が見落とされがちです。RTのレベル3に求められる最小限の訓練時間は40時間です。RTのレベル2の訓練時間は80時間なので、その半分になります。これは、レベル3がレベル2の保持を前提にしているためで、「レベル3の方が難しいのだから訓練も長いはず」と思い込んでレベル2と同じ時間を見込むと計画がずれます。下の表は GA1 の表 9.1.1-1 から主要な方法を抜き出したもので、レベル2の列はレベル1資格を持っている人が受ける場合の値です(レベル1を持たずに直接レベル2を受ける場合は別の値になります)。

方法

レベル1の訓練時間

レベル2の訓練時間

レベル3の訓練時間

RT

40時間

80時間

40時間

UT

40時間

80時間

40時間

MT

16時間

24時間

32時間

PT

16時間

24時間

24時間

ET

40時間

48時間

48時間

経験の証明は合格後の認証登録で求められ、必要な月数は後述します。受験申請の案内や様式は春期・秋期ごとに JSNDI の資格試験ページに掲載されるので、申請期間と提出書類はそこに載ります。他の方法も含めた受験要件の比較は非破壊検査の資格一覧と難易度にまとめています。

レベル3の試験は何パートで、何が問われるか:基礎試験(A・B・C)と主要方法試験(D・E・F)

レベル3の試験は一次・二次ともに筆記で、計6パートに分かれています。一次が「基礎試験」、二次が「主要方法試験」と呼ばれ、合格基準は6パートすべてで各70%以上です。下の表は GA1 §7.1.2 の記載をそのまま並べたものです(JSNDI GA1 §7.1.2)。

パート

試験

問われる内容

A

一次(基礎試験)

材料科学、製造技術に関する技術的知識

B

一次(基礎試験)

JIS Z 2305:2013 に基づく資格・認証スキームの知識

C

一次(基礎試験)

四つの試験方法(RT 又は UT を含む)におけるレベル2の基礎知識

D

二次(主要方法試験)

申請した試験方法に関連するレベル3の知識

E

二次(主要方法試験)

関連する分野における試験方法の適用等に関する問題

F

二次(主要方法試験)

関連する分野における試験方法の手順書の作成問題

試験は春期・秋期の年2回行われ(JSNDI 資格試験ページ)、二次試験は一次試験の合格者だけが受験できます。一次または二次で不合格になった場合は、次回と次々回の試験に限って新規再試験を受けられ、二次での再試験なら一次は免除されます(JSNDI GA1 §6)。各パートの出題形式・試験時間・受験料は GA1 には書かれておらず、各期の受験案内(EA2 資格試験実施案内)に記載されるので、前述の資格試験ページから当期の案内を見る必要があります。

一次(基礎試験):RT固有の内容はほとんどない

Aで扱うのは溶接・鋳造・鍛造などの製造プロセスと、そこで生じる欠陥の成因や材料の性質で、RTの知識は直接には問われません。RT受験者にとっての特徴は、Cの四方法に「RT 又は UT を含むこと」という条件があり、RTはこの条件を申請する試験方法(RT)で満たせることです(JSNDI GA1 §7.1.2)。残りの三方法は自分で選ぶことになるので、現場で触れる機会の多い方法(UT・MT・PTなど)を選ぶのが現実的です。

二次(主要方法試験):ここで初めてRTの深い知識が問われる

Eで想定される適用分野は溶接部・鋳造品・配管などで、分野ごとにコードや規格の扱いが変わります。Fは、RTの手順書を白紙から書けるかを問う問題で、六つのパートの中で最も準備の性質が違います。

パートFの手順書作成でRTは何を問われるか

X線管・溶接部・像質計・検出器を縦に並べ、距離関係を矢印で示した撮影配置の断面図

パートFで問われているのは、個々の数値を暗記しているかではなく、規格・コード・仕様書を読んで「この対象物にはこの条件で撮るべきだ」と根拠付きで決められるか、そしてそれを他の技術者が再現できる文書に落とせるかです。GA1 に出題の細目は書かれていませんが、RTの手順書には一般に、対象物の範囲から放射線安全まで、次の要素が入ります。

  • 対象物の範囲(材質・形状・厚さの範囲)
  • 使用する線源の種類と選定の考え方
  • 撮影配置と幾何学的条件
  • 像質の確認方法と要求水準
  • フィルムやデジタル検出器の種類と処理条件
  • 適用する規格と合否判定の引用先
  • 記録の様式
  • 放射線安全に関する取り決め

RTの場合は、線源・配置・像質という撮影側の条件と、判定規格という評価側の条件を一つの文書で整合させる必要があるので、他の方法の手順書より項目が多くなりがちです。

RTだけの注意点は?訓練時間に放射線安全は含まれず、法令上の資格は別枠

RTのレベル3を考えるとき、他の方法にはない論点が一つあります。GA1 の訓練時間の表には「RT の訓練時間には放射線安全は含みません」という注記があり、JIS Z 2305 の資格制度は放射線の安全管理を資格の範囲に入れていません(JSNDI GA1 表 9.1.1-1 注)。放射線を扱う現場の安全は法令側で別に組み立てられていて、レベル3を取っても、その部分は自動的には満たされません。

関わる法令は三つで、求められることは条文ごとに分かれます(労働安全衛生法・電離放射線障害防止規則・放射性同位元素等の規制に関する法律)。

  • 労働安全衛生法 第14条:労働災害を防止するための管理を必要とする作業について、免許を受けた者などのうちから作業主任者を選任することを事業者に義務付ける(エックス線・ガンマ線の両方の土台)。
  • 電離放射線障害防止規則 第46条:エックス線作業主任者免許を受けた者のうちから、管理区域ごとにエックス線作業主任者を選任する(エックス線装置を使う場面)。
  • 電離放射線障害防止規則 第六章:ガンマ線透過写真撮影作業主任者の選任(ガンマ線源で撮影する場面)。
  • 電離放射線障害防止規則 第4条:放射線業務従事者の実効線量を5年間につき100ミリシーベルト、かつ1年間につき50ミリシーベルトを超えないようにする(線源の種類を問わず)。
  • 放射性同位元素等の規制に関する法律:ガンマ線源の使用の許可と放射線取扱主任者の制度(ガンマ線源を扱う場面)。

RTのレベル3技術者が試験センターや試験設備の責任を負う立場になると、こうした法令上の選任や線量管理を、自分が免許を持つかどうかとは別に、組織として成立させる側に回ります。試験勉強としては、パートEの「適用等に関する問題」やパートFの手順書に放射線安全の項目が絡む可能性があるので、JIS Z 2305 の範囲外だからといって切り離さず、自分の現場の管理区域・主任者・線量記録がどの条文に基づいているかを一度たどっておくと、知識が実務とつながります。

合格率はどう読むか:パート別再試験の仕組みと落ちやすい段階

合格率の数字は年度や期ごとに動くので、公表値と傾向は非破壊検査の合格率の記事にまとめています。一次は三パート同時合格が条件で、二次はFだけ単独で再試験できるため、止まりやすいのは一次とFの二か所です。この違いは再試験のルールから来ています(JSNDI GA1 §8.2.2)。

区分

合格条件

再試験の単位

一次(A・B・C)

三つのパートを同時期に各70%以上

パート別の再試験なし(三つとも受け直し)

二次(D・E)

各70%以上

D・Eをまとめて再試験(Dのみ・Eのみは不可)

二次(F)

70%以上

Fのみ再試験(D・E合格なら免除)

この仕組みだと、落ちやすい段階は二つに分かれます。一つは一次で、三パートのうち一つでも苦手を残すと全体がやり直しになるため、「RTは得意だがAの材料科学が薄い」「Cで選んだ他方法の知識が曖昧」という人が足止めされます。もう一つは二次のFで、知識はあっても手順書を制限時間内に文書として組み立てる訓練をしていない人が、D・Eは通ってFだけ残すケースです。合格率の数字を自分に当てはめるときは、全体の率よりも「自分はどちらの段階で止まりそうか」を先に見極める方が、準備の方向が決まります。

合格に向けた勉強法:6パートに時間をどう配分するか

勉強の配分は、再試験のルールを逆算して決めるのが合理的です。一次は三パート同時合格が条件なので、得意なパートを伸ばすより、最も弱いパートを70%の水準まで引き上げることに時間を使います。二次は区分ごとに再試験できるので、D・EとFを分けて仕上げられます。順序は、再試験の単位に合わせて組むと無駄が出にくいです。

  1. 最初に JSNDI の認証制度の案内(GA1)と JIS Z 2305:2013 の本文を通読し、パートBを固める。制度の知識は範囲が明確で、短期間で70%の水準に届きやすい。
  2. パートCで選ぶ三方法を早めに決め、各方法のレベル2相当のテキストを一巡する。自分がレベル2を持っていない方法ほど、原理と適用限界の理解に時間を置く。
  3. パートAは、溶接・鋳造・鍛造・熱処理といった製造プロセスごとに、生じやすい欠陥とその成因を整理する。RTで実際に検出してきた欠陥を起点に、製造側の知識へ広げると定着しやすい。
  4. 二次に入ったら、パートD・Eは放射線物理・像質・規格の適用をRTのレベル2テキストより一段深い資料で学び、パートFは自分の現場の手順書を白紙から書き直す練習を繰り返す。普段「使う側」にいる手順書を自分で書くと、どの項目を自分が決められて、どの項目の根拠を知らないかがはっきりする。詰まりやすいのは、線源をなぜその種類にしたのか、像質の要求水準をどの規格のどの条件から引いたのか、判定基準の引用先が対象物の規格と整合しているかの三点で、現場では手順書に書いてある値を使うだけで済んでいた部分ほど根拠を言えなくなる。

パートFの練習は、書いた手順書を他のレベル2・3技術者に読んでもらい、「この条件で撮れるか」「この判定基準の引用で合っているか」を指摘してもらうと効果が上がります。RTの手順書は撮影条件と判定規格の両方を扱うため、規格番号ごとの適用範囲を自分で引ける状態にしておく必要があり、規格の原文は日本産業標準調査会(JISC)の検索で確認できます。平日の仕事と並行する人は、一次と二次を別の期に分けて受けるか、同じ期に受けるかで学習計画が変わるので、申請前に受験の組み方を決めておくことも勉強法の一部です。

合格後に何か月の実務経験が要るか:18か月/36か月と合格後2年以内の申請

合格後2年以内に経験月数を満たして認証登録し、登録から5年目に更新登録、10年目に再認証を受ける流れ

経験月数の要件は学歴で二つに分かれる

試験に合格しても、それだけでレベル3の資格証明書は発行されません。合格と共に送られる新規認証申請書に、工業に関わる最小限の経験月数を満たしたことを記入して申請し、書類審査に適格と判定されて初めて認証登録されます。RTのレベル3の認証登録に必要な実務経験は18か月または36か月で、どちらになるかは学歴で決まります。技術専門学校・短期大学・単科大学・総合大学で2年以上の工学または科学を履修した人(A欄、成績証明書の提出が必要)は18か月、それ以外の人(B欄)は36か月です。経験月数の削減はなく、訓練は経験に含まれません(JSNDI GA1 表 10.3-1・§9.1.3)。

新規認証の申請は合格後2年以内という落とし穴

ここで注意が要るのは、新規認証の申請が合格後2年(24か月)以内に限られる点です。B欄に該当する人は、必要な36か月がこの2年を超えるため、GA1 自身が「新規認証申請時に工業に関わる経験月数が満足するか試算のうえ受験申請する必要があります」と注意しています(JSNDI GA1 §10.1)。受験申請の時点では経験は問われないので試験は受けられますが、合格時点で経験が足りず、2年以内に満たせない見込みなら、申請書が失効して試験からやり直しになります。B欄の人は、受験を決める前に、現在の経験月数と合格見込み時期から逆算して間に合うかを確かめておく必要があります。

5年ごとの更新と10年目の再認証

登録後の資格の有効期間は5年で、5年目の有効期限前に更新登録(書類審査)、更新から5年目つまり登録から10年目に再認証が必要です。レベル3の再認証試験は筆記試験で、試験方法の適用に関する問題と認証スキームに関する問題で構成され、70%以上が合格基準です。筆記の代わりに書類審査(クレジットシステム)を選ぶこともでき、その場合は5年間の活動で70ポイント以上を確保する必要があります。いずれの場合も実技能力の確認において適格である必要があり、確認書類は受験申請時に提出します(JSNDI GA1 §7.2.2・§10)。

まとめ:RT レベル3を目指す人の次の一手

RT レベル3の試験は、一次の基礎試験(A・B・C)と二次の主要方法試験(D・E・F)の6パートで、各70%以上が基準です。受験の前提はRT レベル2の保持と視力証明です。レベル3の訓練は過去5年で40時間、合格後の認証登録には学歴に応じて18か月または36か月の実務経験が必要です。一次はパート別再試験がないので弱いパートを底上げし、二次は手順書を書く練習を早く始める。そしてRTは放射線安全が資格の範囲外なので、法令上の主任者や線量管理は別枠で押さえる。この四つを自分の状況に当てはめれば、受験時期と準備の順番は決められるはずです。

レベル3を取ったあとの仕事の広がりや年収との関係は放射線透過試験(RT)の総合ガイドで扱っています。「今の経験で何か月に数えられるのか」「学歴の条件に当たらず36か月が必要な場合、申請書の期限に間に合うのか」「レベル3を取ったら職場で何が変わるのか」といった個別の事情は、文章だけでは判断しきれないこともあります。テンキャリでは非破壊検査の現場を知るアドバイザーが、資格の計画も含めて無料キャリア相談でお話ししています。転職するかどうかは、話してから決めれば大丈夫です。今の経験で見える選択肢を並べ直すだけでも、次の一手はかなり見えやすくなります。

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