PT レベル2試験の内容は?筆記・実技・指示書の合格基準と勉強法

白い現像剤の上に赤い指示模様が浮かぶ溶接試験板と、浸透液・除去剤・現像剤のスプレー缶
目次▼

PT レベル2の試験はどんな構成で、合格基準は何%か

PT レベル2は筆記の一次試験と実技の二次試験の2段階で、探傷と検査指示書の作成を含む各パートに70%以上が必要

職場でレベル2の受験を勧められた人や、PT レベル1から一段上がろうとしている人がまず知りたいのは、試験で何をどこまで求められるかだと思います。

浸透探傷試験(PT、Penetrant Testing)のレベル2は、日本非破壊検査協会(JSNDI)が JIS Z 2305(JISCで検索可)に基づいて行う認証で、一次試験が筆記(一般パートと専門パート)、二次試験が実技です。合否はどのパートも70%以上が基準で、レベル2の二次試験では試験体の探傷に加えて検査指示書の作成も70%以上を求められます。この基準は JSNDI の認証制度の案内文書(GA1)の2026年7月改訂版に書かれています(JSNDI GA1)。

レベル2は、決められた手順どおりに検査ができるレベル1から一歩進んで、規格や仕様書を読んで検査の条件を決め、結果を判定し、レベル1に作業を指示する立場の資格です。試験もその役割に合わせて、手を動かす力だけでなく「手順を文章にして人に渡せるか」を見る作りになっています。

浸透探傷試験(PT)は検査方法としてどんな特徴があるか

PT は、表面に開口したきずに浸透液を染み込ませ、きずの中の浸透液を現像剤で吸い出して指示模様として見えるようにする方法です。作業は次の順に進みます。

  1. 前処理(油や汚れを落とす)
  2. 浸透処理(浸透液を塗り、きずに染み込ませる)
  3. 除去処理(表面の余分な浸透液を取り除く)
  4. 現像処理(現像剤で浸透液を吸い出す)
  5. 観察(指示模様を見て記録する)

材料が磁性体かどうかを問わずに使えるのが大きな特徴で、磁粉探傷試験(MT)が使えないオーステナイト系ステンレスやアルミニウム合金の溶接部でも表面きずを見られるため、配管やタンク、鋳造品の検査で出番が多い方法です。試験で問われる PT の性格は次の三つです。

  1. 装置の調整より、処理の手順と時間の管理で結果が決まる
  2. 見えた模様がきずによるものか、表面の粗さや洗い残しによる疑似模様なのかを見分ける判断が問われる
  3. 内部のきずは原理的に見つけられないという限界を理解し、適用できない場面を説明できることもレベル2の知識に含まれる

JSNDI が認証しているどの方法も同じ枠組みで試験されますが、求められる訓練時間や実務経験は方法ごとに違います。資格の体系と各方法の位置づけは JSNDI の資格案内ページで確認でき(JSNDI 資格・認証)、PT は MT と並んで訓練時間・実務経験の要件が短い側に入ります(GA1 表9.1.1-1・表10.3-1)。

なお、労働安全衛生法には、クレーンの運転など特定の業務に免許や技能講習の修了を求める就業制限の規定(第61条)があります(労働安全衛生法)。PT の資格はこうした法令上の免許ではなく、JIS Z 2305 に基づく JSNDI の認証です。発注者の仕様書や社内の規定で「レベル2以上の者が判定する」と決められていることが多い、という位置づけです。だからこそ、資格を持っていることが判定や指示を任される根拠になります。

受験申請には何が必要か:訓練時間と視力の証明

新しく受験する人には、受験申請の時点で二つの条件があります。過去5年間に所定の訓練を受けていること、そして近方視力と色覚の要件を満たしていることです(JSNDI GA1 9.1)。

訓練時間

訓練は方法ごとに訓練実施記録を作って提出します。PT レベル2の最小限の訓練時間は、先に下位の資格を取っている人で24時間、直接レベル2を受ける人で40時間です。ここでいう下位の資格は、同じ PT の一つ下のレベルの資格のことです。下の表は、GA1 の表9.1.1-1 から PT とほかの代表的な方法のレベル2の値を抜き出したもので、PT と MT が RT・UT よりかなり短く設定されていることが分かります(GA1 表9.1.1-1)。

方法

レベル2の訓練時間

レベル2の訓練時間(直接受験)

PT

24時間

40時間

MT

24時間

40時間

RT・UT

80時間

120時間

近方視力と色覚

視力の要件は二つあります。どちらも証明者は本人ではなく、日常働いている組織の責任者かその代理者です(GA1 9.1.2)。

  • 近方視力:過去1年以内の証明で、Times New Roman N4.5 の文字(Jaeger number 1 でも可)か、それに相当する文字を30cm以上離れて片目または両目で読めること(矯正可)
  • 色覚:PT で使う色やグレイスケールの濃淡の違いを見分けられ、業務上支障がないことを雇用主が証明する

PT は赤い染色浸透液と白い現像剤のコントラスト、または紫外線の下で光る蛍光浸透液を見て判定する方法なので、色覚の証明は形式だけのものではありません。職場の誰が証明者になるのかを早めに確認しておくと、申請が滞りません。

試験の時期・受験料・試験時間の確認先

新規試験は春期と秋期に分けて実施されています(GA1)。各回の日程、申込期間、受験料、試験時間や会場は回ごとに案内されるため、受験を決めたら JSNDI の資格ページから最新の「資格試験実施案内<新規・再試>(EA2)」を確認してください(JSNDI 資格・認証)。申込から一次試験の受験票が届くまでには受験資格の審査が入るので、訓練実施記録と視力の証明は申込期間より前にそろえておくのが安全です。

実務経験はいつ必要になるか

見落とされやすいのが実務経験の扱いです。GA1 では、受験申請の時点での経験期間は問わず、試験に合格したあとの新規認証登録の手続きで経験証明が必要になる、と書かれています。必要な工業に関わる経験は、PT レベル2では3か月、直接レベル2を受ける人で4か月です。MT も同じ値で、RT・UT はそれぞれ9か月・12か月なので、ここでも PT は短い側に入ります(GA1 9.1.3・表10.3-1)。

ここでいう経験は、適切に資格を持った人の監督の下で PT を実際に適用した業務経験で、訓練の時間は経験に含まれません。合格後に届く新規認証申請書は試験合格から2年以内に提出すればよいので(GA1 10.1)、その間に必要な月数がそろえば登録できます。経験がまだ足りない段階で受験しても、合格後2年以内に経験を積めば資格証明書までたどり着けます。

逆にいえば、合格しても経験証明が出せなければ資格にはなりません。PT の業務に就く予定があるのか、誰の監督の下で経験を積むのかを、受験の前に上司や教育担当と話しておくと、合格後に手続きで止まらずに済みます。

一次試験(筆記)では何が問われるか

一次試験は筆記で、一般試験パートと専門試験パートに分かれています。合格基準と再試験の単位は、二次試験と合わせて次の表のとおりです(GA1 7.1・8.2)。

区分

合格基準

再試験の単位

一次・一般パート

70%以上

一般・専門を両方受け直す

一次・専門パート

70%以上

一般・専門を両方受け直す

二次・試験体の探傷

試験体ごとに70%以上

実技パート全体

二次・検査指示書

70%以上

実技パート全体

一次試験は、同じ回で両パートとも基準を満たす必要があります(GA1 8.2)。

一般パートでは、PT の原理と、浸透液・除去剤・現像剤の種類と性質、処理の各工程の意味、指示模様の現れ方といった、方法そのものの理解が問われます。専門パートでは、それを規格や仕様に当てはめて使う力が問われ、試験条件の決め方や、指示模様の分類・記録、判定の考え方といった、レベル2の業務に近い内容が中心になります。

PT は手順が単純に見えるぶん、「なぜその時間なのか」「なぜその順番なのか」を説明できるかで差がつきます。たとえば、除去処理で溶剤を直接吹き付けてはいけない理由や、現像剤を厚く塗りすぎると何が起きるかといった、作業の理由を問う形で知識が確かめられると考えて準備するのが安全です。

二次試験(実技)では何を見られるか

二次試験は一次試験の合格者だけが受けられる実技試験です。試験体の探傷と検査指示書の作成の両方で基準を満たす必要があります(GA1 6.1・7.1)。

試験体の探傷で見られる作業

実技では、与えられた試験体に対して前処理から観察・記録までを自分で行います。採点で見られるのは、最後に正しく指示模様を検出できたかだけではありません。前処理で油や汚れを落としきれているか、浸透時間や現像時間を守っているか、除去しすぎていないか、現像剤を均一に薄く塗れているか、といった途中の作業も結果に直結します。PT は一度除去しすぎると同じ試験体で取り返すのが難しい方法なので、手順の一つひとつを落ち着いて進められるかが問われます。

検査指示書に書くべき条件

検査指示書は、レベル1の技術者がその通りに作業すれば同じ結果が出るように、検査の条件と手順を書面にしたものです。規格や仕様書に沿って、少なくとも次のような項目を過不足なく書けるかが見られます。

  • 対象の材料と検査範囲
  • 表面の状態と前処理の方法
  • 使う探傷剤の組み合わせ(浸透液・除去剤・現像剤)
  • 各処理の条件(浸透時間・現像時間など)
  • 観察の条件
  • 記録と判定の仕方

現場で口頭の指示に頼っている人ほど、ここで点を取りにくくなります。実技の再試験は実技パート全体で受け直す仕組みなので(GA1 8.2)、指示書が弱いと探傷がよくても全体をやり直すことになります。指示書の練習は後回しにしないことをおすすめします。

不合格だったときの新規再試験はどう受けるか

一次試験か二次試験で最初の試験に不合格になった人は、次回と次々回に行われる試験に限って新規再試験として受験できます。新規再試験では受験申請時の添付書類の提出が不要になり、二次試験で不合格だった場合は一次試験が免除されて二次試験から受け直します。ただし、近方視力証明の条件は再試験でも満たしている必要があります(GA1 6.2・9.2)。

再試験の機会は次回と次々回の2回に限られるため(GA1 6.2)、一度落ちたら「次の回で受け直す前提」で準備の計画を立て直すことが大切です。特に二次試験で不合格になった場合は、試験体の探傷と検査指示書のどちらで点を落としたのかを振り返り、弱い側を重点的に練習するのが効率的です。

筆記・実技・指示書はどう勉強するか

PT レベル2の準備は、筆記、実技、検査指示書の三つを並行して進めるのが基本です。どれか一つでも70%に届かなければ合格にならないので、得意な分野を伸ばすより、弱い分野を基準まで引き上げる発想が合っています。

どこに重点を置くかは、受験する人の経験によって変わります。

受験する人の状況

重点を置く分野

日常業務で PT をしている

職場と試験の手順の差・検査指示書

PT レベル1から上がる

専門パートで問われる規格・仕様の読み方

MT など別の方法の資格がある

PT に固有の処理条件と疑似模様の見分け

筆記は「理由を説明できるか」で確かめる

筆記の準備では、JSNDI が発行している PT の教本や問題集を軸に、処理の各工程について「何のためにするのか」「守らないと何が起きるのか」を自分の言葉で説明できるかを確かめていきます。浸透液の種類(染色・蛍光)と除去方法(溶剤除去性・水洗性・後乳化性)の組み合わせごとの長所と注意点は、表にまとめて覚えると整理しやすい分野です。専門パートに向けては、自分の職場で使っている規格や仕様書を読み、試験条件の決め方や判定の考え方がどこに書かれているかを把握しておくと、問題文の意図が読み取りやすくなります。

実技は試験の手順で通し練習をする

実技は、普段の業務で PT をしている人でも油断できない部分です。職場の手順が試験で求められる手順と細部で違っていることがあるため、試験の手順に合わせて最初から最後まで通しで練習し、時間の管理まで含めて再現できるようにします。拭き取りや現像剤の塗り方のような手の動きは、人に見てもらって癖を指摘してもらうと改善が早くなります。講習会は訓練時間の要件を満たす場にもなり、試験に近い形で練習できる機会でもあります。

検査指示書は書いて添削を受ける

検査指示書は、読んで理解するだけでは書けるようになりません。過去に職場で使われた手順書や指示書を手本にしながら、条件を変えた試験体を想定して何度か書いてみて、レベル2やレベル3の先輩に添削してもらうのが近道です。書くときは「この指示書だけを渡されたレベル1が迷わず作業できるか」という目で読み返すと、抜けている条件に気づきやすくなります。

資格ごとの学習の組み立て方は非破壊検査の資格一覧と難易度でも整理しています。PT と MT を両方受けるか迷っている場合は、MT と PT の資格・需要の比較も判断の材料になります。

PT レベル2の難易度は合格率だけで判断してよいか

二次試験で検査指示書まで求められる点はほかの方法のレベル2と変わらないので、訓練時間が短いからといって準備を短く見積もらないことが大切です。PT レベル2の合格率を気にする人は多いのですが、合格率は回によって動き、受験者の顔ぶれ(実務経験の長さや、レベル1から上がる人の割合など)にも左右されます。数字の高い低いだけで難易度を判断するより、自分が一次と二次のどちらで、どのパートで点を落としやすいかを見極めるほうが準備に役立ちます。

レベル別・方法別の合格率の傾向や数字の読み方は、非破壊検査の合格率の傾向と対策にまとめています。

合格後の認証登録と更新・再認証の流れ

合格後は2年以内に認証登録し、5年目に書類審査で更新、10年目に実技の再認証試験を経て再認証登録する流れ

合格から再認証までは、次の順に手続きが進みます(GA1 6.3・10.1〜10.3)。

  1. 二次試験に合格すると、新規認証申請書が届く(申請できるのは合格から2年以内)
  2. 必要事項と経験証明を記入して申請し、書類審査で適格と判定されると資格証明書が発行される(有効期間5年)
  3. 5年目の有効期限前に、書類審査による更新登録を行う
  4. 更新登録から5年目の有効期限前に、資格継続調査で適格となったうえで、レベル2は実技の再認証試験に合格して再認証登録を行う

つまり、10年ごとにもう一度手を動かして力を確かめられる仕組みです(GA1 6.3)。

資格継続調査では、大きな中断なく満足な業務活動を続けていることが条件になります(GA1 9.3)。合格したあとも PT の業務から離れすぎないことが、資格を維持するうえでの前提になります。

PT レベル2を取ったあとの選択肢

レベル2として判定を任される経験を積んだうえで、MT など同じく表面のきずを見る方法を追加するか、UT や RT のように内部を見る方法へ広げるか、あるいは PT レベル3を目指して手順書づくりや教育の側に回るか、といった次の選択肢が見えてきます。PT の仕事内容やキャリアの全体像は浸透探傷試験(PT)の仕事と資格・キャリアパスで、レベル別の年収の目安はPT 技術者の年収で整理しています。

転職するかどうかは、話してから決めれば大丈夫です。テンキャリの無料キャリア相談(ご登録から入社まで、費用は一切かかりません)では、合格後に必要な経験を監督者の下で積める職場か、レベル2として判定を任される職場かを、今の資格と経験から一緒に整理できます。資格を取ったあとにどこで経験を重ねるかが、PT レベル2を仕事の力に変えられるかどうかを左右します。

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