PTレベル3試験は何が出る?基礎・主要方法の6パートと勉強法

溶接部の割れに浮かぶ赤い浸透液の指示模様と、探傷剤のスプレー缶・白紙の手順書
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PTレベル3試験はどんな試験か

浸透探傷試験(PT)のレベル2で現場経験を積み、次はレベル3かと考え始めた人がまず知りたいのは、何が出題されるかでしょう。PTレベル3の新規試験は、一次の基礎試験(パートA・B・C)と二次の主要方法試験(パートD・E・F)の6パートで構成され、すべて筆記です。レベル2までのように試験体を前にした実技はありません。そのかわり、材料と製造の知識、認証制度の知識、PT以外の検査方法の基礎、そしてPTの手順書を自分で書く力まで、幅広く問われます。内容は2026年7月1日改訂の JSNDI の認証制度の案内(GA1)に基づいているので、受験する回の案内で最新の条件も確かめてください。

PTだけを担当してきた人にとっては、一次試験でRTかUTをレベル2の水準まで学び直すことになる点と、学歴によっては合格後に求められる経験月数が申請の期限と重なる点が、とくに見落としやすいところです。どちらも早めに気づけば準備の段取りで吸収できます。PTそのものの原理や仕事内容から確かめたい場合は、浸透探傷試験(PT)の仕事と資格の全体ガイドを先に読んでおくと話がつながりやすくなります。

PTのレベル3技術者は現場で何を任されるのか

JIS Z 2305 に基づく非破壊検査の技術者認証では、技術のレベルがレベル1・レベル2・レベル3の3段階に分かれ、各レベルの責任範囲はGA1 §5に JIS Z 2305:2013 から抜粋されています。制度の全体像と各レベルの位置づけは、日本非破壊検査協会(JSNDI)の資格・認証の案内ページにまとまっています。レベル1が指示書に従って検査を行い、レベル2が検査の実施と結果の評価、指示書の作成までを担うのに対し、レベル3は検査の方法そのものを決める立場です。

PTでいえば、どの浸透液と現像剤の組み合わせを使うか、前処理と除去処理をどこまで行うか、浸透時間や現像時間をどう設定するか、どの規格や仕様書の判定基準を適用するかを決め、それを手順書として文書にするのがレベル3の仕事になります。検査会社やメーカーの品質部門では、レベル2技術者が作った指示書や検査記録を確認し、顧客や監査に対して検査の妥当性を説明する役割も回ってきます。

こうした役割の違いは、そのまま試験の形に表れています。レベル2までは「決められた手順で正しく探傷し、指示模様を評価できるか」を実技で確かめますが、レベル3では「手順そのものを根拠を持って組み立てられるか」を筆記で確かめます。現場で手を動かす力が、そのまま点数になるわけではありません。

受験資格は何が必要か:PTレベル2と訓練24時間

PTレベル3の流れの図。レベル2と訓練24時間で受験申請し、一次・二次試験に合格後、2年以内に経験12か月または24か月で認証申請する

JSNDI の認証制度の案内(GA1、Rev.20260701)によると、レベル3の受験申請には次の条件があります。

  • 受験申請の時点で申請する方法(PT)のレベル2資格を保持していること
  • 過去5年間に、最小限の訓練時間を満たしていること
  • 近方視力の証明(過去1年以内のもの)があること
  • 色覚の証明があること(視力・色覚とも証明者は雇用主)

PTは赤い染色浸透液や蛍光の指示模様を見分ける検査なので、色覚の証明は形式的な書類ではなく、検査方法と結びついた要件だと考えておくとよいでしょう。

訓練時間は方法ごとに決まっていて、PTのレベル3は24時間です。同じ案内の表を方法別に並べると、PTは他の方法より短いことが分かります。MTと同じく表面のきずを検出する方法でも値が違うので、取り違えないようにしてください。

方法

レベル3の訓練時間

PT

24時間

MT

32時間

RT・UT

40時間

ET

48時間

工業に関わる実務経験は、受験申請の時点では問われません(GA1 §9.1.3・表10.3-1)。経験月数が必要になるのは、試験に合格したあとの新規認証申請のときです。PTのレベル3で必要な最小限の経験月数は、学歴によって2通りに分かれます。技術専門学校・短期大学・単科大学・総合大学で2年以上工学または科学を履修した人(区分A)と、それ以外の人(区分B)です。区分Aを適用するには学校の成績証明書の提出が必要です。

方法

レベル3の実務経験(区分A)

レベル3の実務経験(区分B)

PT

12か月

24か月

MT

12か月

24か月

RT・UT

18か月

36か月

注意したいのは、新規認証申請書を合格後2年以内に提出しなければならない点です(GA1 §10.1)。区分BのPT受験者は24か月の経験が必要になり、申請の期限とちょうど同じ長さです。合格してから経験を積み始めると期限内に足りなくなるおそれがあるので、受験を申し込む前に、合格時点で何か月の経験が積み上がっているかを試算しておくのが現実的です。なお、経験月数の削減は行われません。訓練の時間も経験には含まれないので、講習を受けた期間を経験に数えないようにしてください。

一次の基礎試験でPT受験者はどこにつまずくか

一次試験は基礎試験と呼ばれる筆記で、3つのパートで構成されます。GA1では、パートごとに各パート70%以上の点数を取ることが合格の条件とされています。合計点で足りないパートを補うことはできません。新規試験全体の6パートを並べると次のようになります。

パート

試験

問われる内容

A

一次・基礎試験

材料科学、製造技術の知識

B

一次・基礎試験

JIS Z 2305 の認証スキームの知識

C

一次・基礎試験

4つの検査方法のレベル2の基礎知識

D

二次・主要方法試験

申請した方法(PT)のレベル3の知識

E

二次・主要方法試験

関連分野での適用、コード・規格の知識

F

二次・主要方法試験

PTの手順書の作成

試験は春期と秋期に実施されています(GA1 §4.1の注記)。各パートの解答形式や問題数、試験時間、申込の時期は回ごとの「資格試験実施案内」に示されるので、受験する回の案内で確かめておきましょう。

パートA:材料と製造の知識

パートAは材料科学と製造技術の知識です。PTは表面に開口したきずを見る検査なので、日頃の業務では「割れが開口しているか」「表面がどう仕上がっているか」に意識が向きます。一方でパートAでは、鋳造・鍛造・溶接・熱処理といった製造工程で、どの段階にどんなきずが生じやすいかを体系的に理解しているかが問われます。溶接部の割れやブローホール、鋳物の引け巣などを、発生のしくみと結びつけて説明できるようにしておくと、PT以外の方法の問題にも応用が利きます。

パートB:認証制度の知識

パートBは JIS Z 2305:2013 に基づく認証スキームの知識です(GA1 §7.1.2)。レベルごとの責任範囲、訓練時間と経験月数の考え方、資格の有効期間と更新・再認証の流れなど、GA1 に書かれた制度そのものが出題範囲になります。現場ではあまり意識しない領域なので、レベル2までの経験が長い人ほど後回しにしがちですが、出題範囲が案内の文書としてまとまっているぶん、準備した分だけ点数に結びつきやすいパートです。

パートC:4つの検査方法のレベル2知識

PT受験者にとって最も負担が大きいのがパートCです。4つの検査方法についてレベル2相当の基礎知識が問われ、GA1 §7.1.2によると、その4つにはRTかUTを含める必要があります。内部のきずを検出する方法(RT・UT)を1つ含め、残りを表面のきずを検出する方法(MT・ET など)で組むのか、実務で触れたことのある方法を優先するのか、自分が説明できる方法から逆算して選ぶと準備の見通しが立てやすくなります。

二次の主要方法試験で浸透探傷のどこが問われるか

溶接試験片の清掃、浸透液の塗布、余剰液の除去、現像剤の噴霧、赤い指示模様の観察までの工程

一次試験に合格すると、二次の主要方法試験に進みます。パートD・E・Fの3つで構成され、ここも各パート70%以上が合格の条件です(GA1 §7.1.2)。ここからはPTという方法そのものの理解の深さが問われます。

パートD:PTのレベル3の知識

パートDは、申請した方法に関するレベル3の知識です。PTでいえば、浸透液の種類(染色・蛍光)と除去方法の違い、現像剤の役割、浸透時間・現像時間の決め方、温度や表面状態が検出感度に与える影響、指示模様の分類と判定といった内容を、「なぜそう決めるのか」まで説明できるかがポイントになります。レベル2では手順に書かれた時間を守れば足りましたが、レベル3ではその時間をどう決めたかを説明する側に回ります。

パートE:適用とコード・規格

パートEは、関連する分野で検査方法をどう適用するか、どのコードや規格に基づくかの問題です。PTは材料を選ばずに表面開口きずを検出できる一方で、多孔質の材料や表面が粗い部位には向かず、開口していない内部のきずは検出できません。どの部位にPTを選び、どこでMTやUTに切り替えるかといった使い分けを、規格の要求と結びつけて考える力が問われます。

パートF:手順書の作成

パートFは手順書の作成です。レベル2の試験にも指示書の作成がありましたが、レベル3では、その元になる手順書を、適用範囲・使用する材料と機材・前処理から後処理までの条件・判定基準・記録の方法といった要素をそろえて書き上げることになります。PTは工程の数が多い検査なので、前処理、浸透、除去、現像、観察、後処理の各工程に抜けがないかを、自分で読み返して確かめられるかが差になりやすいパートです。

合格率の数字より先に見ておきたい再試験のルール

レベル3の合格率は気になるところですが、方法やレベル、受験した回によって変わるため、一つの数字で難しさを測ることはできません。方法別・レベル別の傾向の見方は非破壊検査の合格率の読み方で整理しています。合格率よりも先に確かめておきたいのは、落ちたときにどこから受け直せるかという再試験のルールです。

GA1に書かれた再試験のルールは、一次と二次で扱いが分かれています。

  • 再試験の機会:最初の試験で不合格になった場合、次回と次々回の試験に限り新規再試験として受験できる
  • 一次試験(パートA・B・C):パート別の再試験はなく、3つのパートを同じ回でそろえて70%以上取る必要がある
  • 二次試験(パートD・E):D・Eをひとまとまりとして再試験を受ける。Dだけ・Eだけの再試験は無い
  • 二次試験(パートF):Fだけを独立して再試験として受けられる

この仕組みでは、一次試験は3パートを同時に仕上げる必要があり、苦手なパートCを残したまま受けるのは得策ではありません。二次試験は、方法の知識と規格の適用を問うD・Eと、手順書を書き上げるFとで準備の性質が違うので、どちらかに偏らないように時間を配分しておくことが、受け直しの回数を減らす近道になります。

PTレベル3はどう勉強すればよいか

勉強の順番は、試験の順番どおり一次試験から始めるのが基本です。一次試験に合格しないと二次試験は受けられません。パートCで選ぶ4つの方法を早い段階で決め、レベル2の教材を使って、それぞれの原理・機材・適用範囲・長所と短所を一通り説明できるところまで進めておきます。

一次試験の準備

パートBは、受験する回の案内文書を読み込み、レベルごとの責任範囲や訓練時間・経験月数・有効期間の数字を、方法ごとに取り違えずに答えられるようにしておきます。先ほどの表のように、PTとMTでレベル3の訓練時間が違うといった細かな差が、そのまま出題のポイントになりやすいからです。パートAは、日頃PTで検査している製品が、どんな工程を経てどんなきずを持ちやすいかを、自分の担当製品から書き出してみると、抽象的な知識が実務とつながって覚えやすくなります。

二次試験の準備

パートDとEは、レベル2で覚えた手順の「理由」を言葉にする作業が中心です。浸透時間や現像時間、除去の方法などを1つずつ取り上げ、なぜその条件なのか、条件を変えると何が起きるのかを自分の言葉で説明できるかを確かめていきます。社内の手順書や仕様書が手元にあれば、どの規格のどの要求に基づいているかをたどっておくと、パートEの準備にもなります。

パートFは、実際に手順書を何度か書いてみるのがいちばんの準備です。パートFの説明で挙げた要素を毎回そろえて書き、抜けがないかを読み返します。抜けやすいのは除去処理の条件で、除去しすぎると開口部の浸透液まで取り除いてしまい指示模様が出にくくなるため、除去の方法と程度をどう確かめるかまで書けているかを見直すとよいでしょう。洗浄や除去に使う溶剤の取り扱い、換気、保護具といった安全上の注意も、手順書に欠かせない要素です。労働安全衛生法は、事業者に労働者の危険や健康障害を防ぐための措置を求めています。手順書を書く立場になるレベル3では、こうした安全管理の項目まで含めて書けるかが、現場で信頼される手順書になるかどうかの分かれ目になります。

学習を続ける工夫

レベル3の準備は数か月単位になることが多く、仕事と並行して続けられるかが現実的な課題になります。一次と二次で準備の性質が違うので、まず一次試験の範囲に絞った計画を立て、合格したら二次の計画に切り替えるほうが、範囲の広さに押しつぶされずに済みます。社内にレベル3の保有者がいれば、作った手順書を見てもらう機会を作ると、独学では気づきにくい抜けを指摘してもらえます。

合格したあとの認証登録と5年・10年の維持手続き

合格後の手続きの図。認証申請で資格証明書が出て有効期間は5年、5年目に書類審査の更新登録、10年後に筆記と実技確認の再認証がある

二次試験に合格すると新規認証申請書が送られてきます。経験月数を満たしたうえでこの申請書を提出し、書類審査に適格と判定されると資格証明書が発行されます。資格の有効期間は5年間です(GA1 §10)。

その後は5年ごとに手続きがあり、5年目と10年目で中身が違います(GA1 §6.3・§7.2.2・§10)。

  • 更新登録(5年目の有効期限の前):書類審査
  • 再認証(資格の発効から10年後):筆記試験で、検査方法の適用に関する問題と JIS Z 2305:2013 の認証スキームに関する問題で構成され、70%以上で合格。あわせて実技能力の確認で適格である必要がある
  • クレジットシステム:再認証の筆記試験の代わりに、5年間の活動で70ポイント以上を確保する書類審査を選べる
  • 再認証再試験:再認証で不合格になった場合、約6か月の間に2回受けられる

合格はゴールではなく、レベル3として活動を続けることが資格の維持につながる仕組みになっています。クレジットシステムを選ぶ可能性があるなら、合格した時点から自分の活動を記録しておくと、10年後の手続きで慌てずに済みます。

PTレベル3を次のキャリアにどうつなげるか

PTのレベル3を取ったあとは、検査会社で手順書の承認や顧客への説明を担うのか、メーカーの品質部門で監査対応や工程の品質管理に関わるのか、どちらの方向で経験を積むかを選ぶことになります。一方で、パートCで学ぶRTやUTの資格まで取りにいくのか、PTを軸に品質管理や監査の方向に進むのかによって、次に積むべき経験も変わってきます。資格全体の中でPTレベル3がどこに位置するかは非破壊検査の資格一覧と難易度で、レベル3になってから年収がどう変わるかはレベル3の年収の目安で確かめられます。

レベル3を受けるかどうか、受けたあとにどこで力を発揮するかは、今の職場で積める経験と、目指したい役割の両方を並べてみると決めやすくなります。転職するかどうかは、話してから決めれば大丈夫です。合格時点で経験月数が足りるか、今の職場でRTやUTに触れる機会があるかといった点も含めて、無料キャリア相談で一緒に整理できます。

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