PT レベル1試験の内容は?筆記2パートと実技、合格率の読み方

白い現像剤の上に赤い線状の指示模様が浮かぶ溶接試験片と、浸透探傷用のスプレー缶
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PT レベル1の試験で問われること

この記事は、浸透探傷試験(PT、Penetrant Testing)のレベル1を初めて受けようとしている人と、職場で受験を勧められて何から準備すればいいか迷っている人のために書きました。PT レベル1の新規試験は、一次試験の筆記(一般試験と専門試験の2パート)と、二次試験の実技でできています。JSNDI の認証制度の案内によると、どのパートも70%以上の点数が合格ラインで、受験の前提として訓練時間と視力・色覚の証明が求められます。

実務に就く前でも受けられるのか、筆記と実技のどこでつまずきやすいのかが気になっている人は多いはずです。1つ目の答えは「訓練と視力の条件を満たせば受けられる」で、2つ目はパートごとに70%を求める合格基準と、実技の除去処理が分かれ目になりやすい点です。資格の全体像から確認したい場合は、非破壊検査の資格一覧と難易度を先に読むと位置づけがつかみやすくなります。

浸透探傷試験(PT)は NDT 方法としてどんな特徴があるか

表面に開口したきずに入った赤い浸透液が、白い現像剤の層へ吸い出されて広がる断面

PT は、部品の表面に開口したきずに浸透液をしみ込ませ、表面の余分な浸透液を取り除いたあと、現像剤できずの中の浸透液を表面に吸い出して、指示模様として見えるようにする検査方法です。非破壊検査の代表的な方法の一つとして、日本非破壊検査協会(JSNDI)も非破壊検査の解説ページで紹介しています。

受験する方法として見たときの特徴は、大きく3つあります。1つ目は、見つけられるのが表面に開口したきずに限られることです。内部のきずは対象外なので、筆記では「何が検出できて、何が検出できないか」を問われる前提で知識を整理しておく必要があります。2つ目は、磁粉探傷試験(MT)と違って材料が磁性体である必要がなく、アルミニウム合金やオーステナイト系ステンレス鋼のような非磁性の金属にも使えることです。一方で、多孔質の材料のように表面全体に浸透液がしみ込むものには向きません。

3つ目は、検査の結果が作業の手順に強く左右されることです。PT は次の順番で進み、どの工程で手を抜いても指示模様が出なかったり、きずでない模様が出たりします。

  1. 前処理:油や塗膜、汚れを取り除き、浸透液がきずに入る道をふさがないようにする
  2. 浸透処理:浸透液を塗り、きずの奥までしみ込む時間を置く
  3. 除去処理:表面の余分な浸透液だけを取り除き、きずの中の浸透液は残す
  4. 現像処理:現像剤を薄くかけ、きずの中の浸透液を表面に吸い出す
  5. 観察:指示模様を見つけ、きずによるものかどうかを見分けて記録する
  6. 後処理:現像剤や浸透液を落とし、部品を元の状態に戻す

装置の調整が中心になる超音波探傷試験(UT)などと比べて、手順を正しく踏めるかどうかが結果を左右する比重が大きい方法です。実技試験で手順そのものが見られるのは、このためです。

浸透液には、可視光の下で赤い指示模様を見る染色浸透探傷と、暗い場所で紫外線を当てて光る指示模様を見る蛍光浸透探傷があり、余分な浸透液の除去のしかたにも水洗性・溶剤除去性・後乳化性の区分があります。PT の仕事内容やキャリアの全体像は浸透探傷試験(PT)の仕事と資格・キャリアパス完全ガイドにまとめています。

受験資格は何が必要か:16時間の訓練と近方視力・色覚の証明

PT レベル1を新規に受けるときの条件は、次の3つに分けて考えると確認しやすくなります。

  • 訓練:過去5年間で16時間以上。訓練実施記録を受験申請時に提出する
  • 視力・色覚:過去1年以内の近方視力の証明と、雇用主による色覚の証明
  • 実務経験:受験申請の時点では問われず、合格後の認証登録で証明する

訓練時間

JSNDI が JIS Z 2305 に基づいて行う資格試験では、新規に受験する人に訓練時間と視力の条件が課されます。JSNDI の認証制度の案内(GA1、Rev.20260701)によると、PT レベル1の最小限の訓練時間は過去5年間で16時間です。訓練は NDT 方法ごとに訓練実施記録を作り、受験申請のときに提出します。

同じ案内の表では、PT レベル1の16時間は MT レベル1と同じで、UT・RT のレベル1の半分以下です。受験までの準備期間を短く見積もりやすい区分ですが、訓練記録の様式は JSNDI のホームページから入手する決まりになっているので、職場で訓練を受ける場合も早めに様式を確認しておくと申請で慌てずに済みます。

近方視力と色覚の証明

視力については、過去1年以内の近方視力の証明が必要です。Times New Roman N4.5 の文字(Jaeger number 1 でも可)か、それに相当する文字を、30cm 以上離れて片目または両目で読めることが条件で、矯正してもかまいません。あわせて色覚の証明も求められ、申請する NDT 方法で使う色やグレイスケールのコントラストを見分けられることを雇用主が証明します。PT では白い現像面に出る赤い指示模様を見分けることになるので、この要件は検査そのものに直結しています。

実務経験は合格後に求められるので、実務に就く前でも訓練と視力の条件を満たせば受験はできます。

一次・二次試験はどんな構成で、何点取れば合格か

レベル1の新規試験は、一次試験(筆記)と二次試験(実技)の2段階です。GA1 の試験内容の項によると、一次試験は一般試験パートと専門試験パートの筆記で、それぞれ70%以上の点数を取ると合格です。二次試験は実技試験パートで、各試験体でそれぞれ70%以上の点数を取る必要があります。二次試験は一次試験の合格者だけが受けられます。受験の申込みや日程はJSNDI の資格試験のページから確認できます。

パート

形式

合格基準

不合格のときの再試験

一般試験

一次・筆記

70%以上

一次から受け直す

専門試験

一次・筆記

70%以上

一次から受け直す

実技試験

二次・実技

各試験体で70%以上

二次から受け直す(一次免除)

この合格基準で大事なのは、合計点ではなくパートごと・試験体ごとに70%を求めている点です。筆記で一般試験が高得点でも専門試験が70%に届かなければ一次は不合格ですし、実技でもある試験体の出来がよくても、別の試験体で基準を下回れば合格になりません。得意な分野で苦手を補う作戦が取れない試験だと考えて、準備の配分を決めるのが現実的です。

最初の試験で一次または二次に落ちた場合は、次回と次々回の試験に限って新規再試験として受験できます。新規再試験では受験申請時の添付書類が不要になります。実技で失敗しても、次回と次々回の試験なら筆記からやり直す必要はありません。

試験は春期・秋期のように期ごとに実施され、受験料や申込期間、会場はその期の案内で確認します。筆記の各パートでどんな範囲が出るか、実技でどんな試験体が使われるかの詳細も、GA1 が参照先に挙げている JSNDI の資格試験実施案内(新規・再試)に書かれています。受験する期の案内を手元に置いて、出題範囲と持ち物を確認しておくと安心です。

PT レベル1の合格率はどのくらいか

2025年春期のレベル1合格率の棒グラフ。PTは一次63.0%・二次72.4%で、MTは一次42.2%と低く二次87.8%と高い逆の形

JSNDI は新規資格試験の結果を機関誌の NDT フラッシュで公表しています。2026年10月時点で確認できた直近の結果である2025年春期の新規資格試験結果(NDT フラッシュ Vol.74 No.9、2025年9月8日訂正版)では、PT レベル1は一次の申請が217人で合格者133人、二次の申請が176人で合格者123人でした。合格率は欠席者を除いた受験者を分母にしているため、申請人数から割り算した値とは一致しません。近い区分と並べると、次のようになります。

区分

一次合格率

二次合格率

PT レベル1

63.0%

72.4%

PD レベル1

67.1%

82.6%

MT レベル1

42.2%

87.8%

レベル1 合計

53.3%

69.2%

この期の数字で見ると、PT レベル1の一次はレベル1全体より通りやすく、二次はほぼ全体並みです。MT レベル1と比べると、一次は PT のほうが高く、二次は MT のほうが高いという逆の形になっています。この期は PT の二次合格率が MT より 15 ポイントほど低く、実技でつまずく人が一定数いたことになるので、筆記に受かってから実技の練習を始めるのではなく、並行して手を動かしておく価値があります。

ただし、これは2025年春期という1つの期の結果です。合格率は期ごとに変わるので、「PT レベル1は◯割受かる試験」と固定して考えないほうが安全です。方法別・レベル別の傾向をまとめて見たい場合は非破壊検査の合格率は?レベル別・方法別の傾向と対策も参考になります。

一次試験(筆記)はどう勉強すればいいか

筆記対策の土台は、訓練で使う教材を一通り読み、PT の6つの工程を「なぜその処理が必要か」とセットで説明できるようにすることです。工程の名前だけでなく理由まで結びつけて覚えておくと、問われ方が変わっても対応しやすくなります。

次に、PT が検出できるきずとできないきずの境界を、MT との使い分け(磁性体かどうか、表面直下のきずを見たいかどうか)と対にして整理します。いずれも PT の検出原理から直接出てくる条件なので、原理から説明できれば暗記の量はそれほど増えません。

浸透液の種類と除去方法の区分は、組み合わせごとの長所・注意点と観察条件をノートの表にまとめておくと見返しやすくなります。教材に出てくる用語は、JISC の JIS 検索で浸透探傷試験の規格を探して定義を確かめておくと、言葉の定義があいまいなまま覚えるのを防げます。

演習に使う問題をどこで手に入れるか、過去の問題がどう扱われているかは、受験する期の案内と訓練を受ける機関で確認してください。一般・専門のどちらで落としやすいかを早めに把握するために、問題演習で間違えた問題を工程や用語ごとに分類しておくと、残りの時間をどこに使うかを決めやすくなります。同じ表面検査系の MT レベル1の試験対策はMT レベル1 の試験内容と受験資格・勉強法ガイドで扱っているので、両方を受ける予定がある人は見比べると共通点と違いがよく分かります。

二次試験(実技)では何を見られるか

実技で問われるのは、手順を省かず、時間を守り、出てきた指示模様を基準どおりに記録できるかどうかです。試験体ごとの基準なので、1つの試験体で前処理を雑にしたり、浸透時間や現像時間を短く切り上げたりすると、それだけで不合格になりえます。練習では毎回、工程の順番と各工程の時間をメモに書き出し、本番と同じ流れで最後まで通すことを繰り返すのが効果的です。

特に差が出やすいのは除去処理です。余分な浸透液が残ると背景が赤く汚れて指示模様が見分けにくくなり、逆に拭き取りすぎるときずの中の浸透液まで失われます。溶剤除去性の浸透液であれば、溶剤を直接吹き付けず、布に含ませて一方向に拭き取るといった基本動作を、手が覚えるまで練習しておくと安定します。現像剤も、厚く塗りすぎると細かい指示模様が埋もれるので、薄く均一にかける感覚を身につけておきます。

観察と記録では、きずによる指示模様と、加工の跡や拭き残しによる模様を区別して、決められた様式に記録します。GA1 が抜粋している JIS Z 2305 の規定では、レベル1は NDT 結果の解釈について責任を負わない一方、指示書に従って結果を記録・分類し、報告することは任される範囲です。実技でも、見えたものを正確に、決められた書き方で残す力が見られていると考えて準備します。

練習のときは安全面にも気を配ります。浸透液や洗浄液、現像剤にはエアゾール缶入りのものが多く、換気や火気の管理が欠かせません。職場での安全衛生管理は労働安全衛生法に基づいて事業者が行う枠組みになっているので、練習場所や使用する薬剤の扱いは職場のルールと製品の注意書きに従ってください。

PTとPD、どちらのレベル1から受けるか

浸透探傷には、PT とは別に「溶剤除去性浸透探傷検査(PD)」という限定 NDT 方法の区分があります。PD は溶剤除去性の浸透探傷に絞った区分です。GA1 の訓練時間の表(表9.1.1-1・9.1.1-2)と経験月数の表(表10.3-1・10.3-2)から、PT と PD の主な区分を並べると、訓練時間と経験の差が見えてきます。

区分

訓練時間

実務経験(認証登録時)

PT レベル1

16時間

1か月

PD レベル1

8時間

1か月

PT レベル2

24時間

3か月

PT レベル2(直接受験)

40時間

4か月

PD は訓練時間が PT の半分で、NDT フラッシュの2025年春期の結果でも PD レベル1は一次・二次とも PT レベル1より合格率が高めでした。PT レベル2の24時間はレベル1の資格を持っている人の値で、直接受験はレベル1を持たずにレベル2を受ける場合です。

どちらを受けるかは、職場で実際に行う浸透探傷の範囲で決めるのが筋です。現場でエアゾール缶の溶剤除去性浸透液だけを使うのであれば PD でも業務に合いますが、蛍光浸透探傷や水洗性の浸透液を扱う可能性がある、あるいは将来 PT のレベル2以上を目指すのであれば、最初から PT レベル1を取っておくほうが遠回りになりません。

GA1 には、PT レベル1の資格を持っている人が PD の限定レベル2を受ける場合、限定レベル1の訓練時間を満たしているものとして扱われる例も示されています。PT レベル1を持っていれば、PD の上位区分にも進みやすくなるということです。どの区分が必要かは職場の仕様書や顧客の要求で決まることが多いので、受験前に上司や品質管理の担当者に確認しておくと迷わずに済みます。MT と PT の需要やキャリアの違いは磁粉探傷(MT)vs 浸透探傷(PT)資格・需要・キャリア比較で整理しています。

合格したら何をするか:認証登録・更新・レベル2

合格後の流れの図。合格後2年以内に新規認証登録し、資格証明書は5年間有効、5年目に書類で更新、10年目に実技の再認証試験を受ける

認証登録と有効期間

試験に合格しただけでは資格証明書は発行されません。GA1 によると、資格の取得から維持までは次の流れになります。

  1. 合格すると新規認証申請書が送られてくる
  2. 試験合格後2年以内に、経験証明などを記入して新規認証登録を申請する
  3. 書類審査で適格と判定されると資格証明書が発行される(有効期間5年間)
  4. 5年目の有効期限の前に更新登録(書類による更新審査)を行う
  5. 資格発効から10年目に、資格継続調査と再認証試験を経て再認証登録を行う

新規認証の経験証明では、訓練の時間は工業に関わる NDT 経験に含まれません。訓練とは別に、監督の下で検査業務に携わった期間を積んでおく必要があります。

資格の更新と再認証

5年目の更新は書類による審査で、試験はありません。10年目の再認証では試験があり、レベル1の再認証試験は実技試験です。10年後にもう一度実技で70%を求められるので、合格後も手順の基本を日々の業務で崩さないことが、そのまま再認証の準備になります。

レベル2へ進むときの訓練と経験

レベル1を持っていれば、レベル2の訓練は24時間、認証登録に必要な経験は3か月です。レベル2になると、レベル1ではできなかった NDT 結果の解釈や評価、検査指示書の作成を任されるようになり、試験でも検査指示書の作成が70%基準で加わります。レベル1の段階で、指示書のどこに何が書かれているかを意識して業務をこなしておくと、レベル2の準備にもつながります。レベル1の段階での年収の目安と伸ばし方は非破壊検査レベル1の年収はいくら?伸びしろの条件で扱っています。

受験の段取りに迷ったときの相談先

準備で迷いやすいのは、PT と PD のどちらを受けるか、合格後の経験1か月をどこで積むか、そしてその先のレベル2やほかの方法へどう広げるか、といった段取りの部分です。

今の職場で受験の機会や経験を積む環境が十分にあるのか、ほかの職場ならどんな検査に関われるのかは、一人で考えていても比べる材料が集まりにくいところです。テンキャリの無料キャリア相談では、非破壊検査の資格と経験をもとに、今の環境で取れる選択肢とほかの職場の選択肢を並べて整理できます。転職するかどうかは、話してから決めれば大丈夫です。受験と経験の積み方を一緒に考えるだけでも、次の一手は見えやすくなります。

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